
pamo
@pamo
2025年3月17日

サラバ!(上)
西加奈子
読み終わった
感想
魂が震える長編小説。エジプトで幼少期を暮らした主人公の少年の、現地の少年との友情、日本での思春期、大人になってからの苦悩。
注目を集めたくて変人ぶってしまう姉。「写真を撮ってもらった時、「次は私が撮るね」とは決して言わないタイプ」の母。近所の聞き上手なおばあさんが、いつしか独自の宗教と化していく様。青年期までは甘いマスクで苦労知らずだった主人公が、アレによって転落していく様。
どれもぶっ飛んだ設定のようでいて、自分や周りの人にすごくリンクする。登場人物たちがどれも愛おしくなってしまう。
何度読み返しても胸が熱くなる。ままならない人生を苦しみながら歩んでいく現代人の、指針のような、お守りのような、旗のような作品。
