

pamo
@pamo
趣味は読書です。
- 2025年11月12日
読み終わった感想図書館本おもしろい!noteでも読めるそうなのでぜひ。 大「言語化」時代、口のうまいやつが評価をされる。得をする。口下手はそれだけで能力が低いかのように扱われる。単に、じっくりと言葉を選んでいたり、言葉にできないことに向き合っているだけなのに。 …という著者の指摘には全力でうなずきながらも、でもそれもやっぱり「口の立つやつ」の立場で「口下手にもいいことあるよ」って慰めてるだけだよなぁー…持てる者が持たざる者に同情しているだけというか、そこにも欺瞞があるというか。 その他、とにかく「うんうん、そうそう」と思うことばかり。 軽やかな語り口で読みやすいエッセイ。 他の著書も読んでみようと思った。 - 2025年10月28日
オードリー・タン 自由への手紙オードリー・タン,クーリエ・ジャポン編集チーム読み終わった感想図書館本私が旅行で見た台湾は「古き良き雑多な夜市」と「10年前の東京みたいな都会感」だった。 この本を読むと、台湾のぜんぜん違う姿が見えてくる。 フィンランドの例なんかを見ても、つくづく人口が少ない国の国民の一体感、強国の脅威にたいする危機感、それゆえのIT転換への素早さ・機敏性を感じる。 日本はどうなってゆくのか、考えさせられる一冊だった。 - 2025年10月16日
しずく西加奈子読み終わった買った感想ちょっと良すぎる。西加奈子さんの作品、大好き。 「女性2人」の短編オムニバス。それは友情だったり、親子だったり。 人生のなか、生活のなかで溜まっていく澱のようなものを、爽やかに受け入れながら生きていくような、吹き抜ける風のような作品たち。 また何度でも読み直したい。 なぜか家にあったけど、あってよかった。 - 2025年9月22日
- 2025年8月15日
誘拐された西欧、あるいは中欧の悲劇ミラン・クンデラ,阿部賢一読み終わった感想図書館本面白かった。評論かと思って手に取ったら、中身は中央ヨーロッパの先人たちの講演・演説を収録したような本。 西欧になりきれず、さりとて旧ソ連圏の東欧でもない。国境は列強の気まぐれによって恣意的に引き直され、国は簡単に滅ぼされる。 そんな不信感・不安感のなかで、それでも列強に吸収されるのではなく一つの国民・民族として独立することを選んだ中欧の国々。 その国で生きてきた人から見た「国」というものの不確かさ、グローバリズムに対する猜疑心が感じられる。 大国ドイツの文化圏に染まった方が良いか。それとも弱小国家であろうと独自の文化圏を維持するべきか。どちらの方が国は発展するのか、先進国から取り残されないか、攻め滅ぼされないか。少数言語を使い続けるべきか、話者の多い言語を取り入れるべきか。 かつて日本もその悩みを持ち、明治維新やGHQ占領時代を乗り越えてきたことを思えば他人事ではない。 カフカの作品にある暗い不安感、美しいブダペストやプラハの街並み…中欧のいろいろな文化・芸術の下地が見えてくる。 - 2025年8月15日
読み終わった感想図書館本このアプリで知って気になっていたら、図書館のおすすめ棚に並んでいたので。 自分自身もつながるのが嫌いで、なるべくつながらずに生きていたい。 しかし例えマイノリティでなくとも、やっぱりつながらない人はつながる人に比べてビハインドになる(学校のノートの貸し借り、ママ友の情報ネットワーク、会社の社内政治や飲みニケーション・タバコミュニケーションetc) マイノリティは、マジョリティよりもずっとそのビハインドが切実だ。 知り合いに、全国的にニュースになった大事故に巻き込まれた被害者がいる。トラウマの対処として「被害者の会」に参加していたが、しかし自身の被害は軽度だったため、重篤な被害を受けた人たちの切実ぶりを前にして引け目を感じ、その会からは遠のいてしまったそうだ。 マイノリティの支えとしてコミュニティがあるが、コミュニティというものはとかく、人との相違を感じさせることから逃れられない。 正直、読んでいて「世の中なんてそんなモンでしょ」という気持ちもある。歳をとればとるほど、今の世の中がこうなっている理由も分かってくる。 そういう意味では100%この本に賛同する気持ちにはなれないのだが、しかし自分の中に根深く染み付いた先入観に気づかせてもらえるという点では読んで良かった。 この方がこの先どのように生き、どのように考え、何を書いていくのか、気になる人だ。 - 2025年8月9日
一冊でわかるイラン史関眞興読み終わった感想図書館本一冊でわかるシリーズ。中東の歴史を見ていくと、1800年ごろまではさまざまな王朝が入り乱れ土地争いをしていて、いまに残る「イラン」等の国の形にまとまったのはごくごく最近なのだとわかる。 国民にしてみれば、それぞれの民族・宗教・部族単位でこの土地に存在してきた(ないしは遊牧生活を送っていた)のに、近代になってイキナリ「イランとしてまとまれ」「イラン国民としての意識を持て」と言われても難しいだろう。 しかし国としてまとまり発展しなければ、いつまでも大国のいいように利用されてしまう。 自分の思い描く暮らしは「国」という形ではないのに、国際社会で渡り歩くためには「国」にならなければならない。 近代国家というものが当たり前のことではないことが、中東の歴史を見るとわかってくる。 そしてつくづく、天下統一し鎖国、明治維新を経て日本という国の形を列強から脅かされずにこれた日本はかなりのレアケースなんだと感じる。もちろんその陰で排除された民族もいることは確かなのだが。 - 2025年8月2日
デッドエンドの思い出よしもとばなな読み終わった感想図書館本中学生のとき、はじめて吉本ばななと出会った本。 人生のどん底のような悲しみを経験した人々の、再生の物語の短編集。 内容はすっかり忘れていたけど、でもこの本に敷き詰められた切なさと悲しさと孤独、そして幸福感が、私の土台にしっかり組み込まれていることを再確認した。 ついでに20年前には、「救い」といえばラブストーリーだったという固定観念にも改めて年月を経て気付かされる。私はこの頃の価値観をしっかり内面化しているので恋愛に救いを求めるけど、もっと他の生き方がある現代では読者も限られるかもしれない。 - 2025年8月2日
一冊でわかるトルコ史関眞興読み終わった感想図書館本「一冊でかわる」シリーズを順番に読んでいく。 トルコ史はほぼ「オスマン帝国史」で、それ以前のほとんどが周辺の強国に奴隷を提供した地域だったイメージ…。 しかし歴史の交差点としてのイスタンブール、アンカラにどんどん興味が湧く。むかし海外ツアーで行ったことがあるが、カッパドキアの感動でイスタンブールの記憶は消えているので再訪したい。 同時期に読んだアフガニスタンの歴史書では「戦乱を経てアフガニスタンも平和に向けて進みつつある」という希望のある締めくくりだったのに反して、こちらは「中東の紛争に巻き込まれつつある」という暗い終わり方だったのが印象的。 そして、日本ではあまり意識しないけど「日露戦争で、西欧列強に初めて勝利したアジア人」としての日本のアジアからの視線に気付かされた。 「アジアは西欧に負けてらんねぇ」という意識で大戦につっこんでいったのも頷ける…。 - 2025年7月30日
ヨーグルトの歴史ジューン・ハーシュ,富原まさ江読み終わった感想図書館本ヨーグルトの歴史、健康効果、世界での食べられ方、調理法、市場に出回った商品など、「ヨーグルト」の知識をかなり広範にカバーした本。 アジア発祥の食べ物でありながら、どうしてもアメリカを主軸にした内容になっているのは残念だが、それでも広く世界を見渡そうとした努力が見える意欲的な一冊。 乳糖不耐症の人でもヨーグルトなら食べられるというのは知らなかった。 長らく牛乳を豆乳に代用しているのだけど、ヨーグルトからカルシウム等を得られるのはありがたい。 - 2025年7月30日
読み終わった感想図書館本アフガニスタンの歴史を外観する良書。 こんな歴史を経てきた国を平定することの難しさ。 どうしたって大国の影響は受ける。 しかし大国が不干渉を極めれば、それはそれで部族同士の内戦が起こり、他国が介入しなければ治まらない。そして介入する他国には、必ずその思惑や利益が絡む。 民主主義国家、自由主義国家、西欧諸国的な「先進国」の観念…それとは全く違う価値観の地域があるということを分からなければいけないし、しかしそれでも、暴力は否定しなければいけない。自分の中の「正義感」「平和主義」「イデオロギー」を意識してグッと腹に力がこもるような一冊だった。 それにしても、なぜ歴史的価値のある仏像を破壊するようなことができるのか。ふつふつと憤りを感じた自分の中に、またひとつイデオロギーを発見した。 - 2025年7月25日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 下アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読み終わった感想図書館本「この話、どうやって着地するんだろう…?」と思っていたら、ラスト100ページで感動、感動、感動! 作者の、「人間の善性」というものに対する深い深い期待が眩しい。 「君たち一人ひとりが、地球の平和を作っていくんだぞ」という強いメッセージ。 読み終わったあと、星を見上げてしまう。 - 2025年7月4日
読み終わった買った感想やっと読めた。中村哲さんの著書。 うちにあった唯一の中村哲さんに関する本なのだけど、アフガニスタンに診療所を開くところまでで、その後、大旱魃によって診療どころではなく井戸を掘る活動をしていた(医師なのに)というところは語られていなかったので、他の著書や映画も見なければ。 読みながら、自分が中東の歴史にあまりにも疎いことがわかったので歴史に関する本も読みたい。 アフガニスタンの歴史本となるとどうしても殺伐とした切り口のものばかりなので、フラットに高校世界史の語り口で書かれたものに出会えるといいが。 この本の内容が、自分が生まれるちょうど直前くらいまでの時期の出来事だった。 こういう方の紡いできた世界の上に自分が生まれ落ちてその後の世界を見ているのだと思うと、なんともいえない厳粛な気持ちになる。 - 2025年7月1日
巨匠とマルガリータミハイル・A・ブルガーコフ,水野忠夫読み終わった感想図書館本図書館で予約本を受け取ったとき、あまりの分厚さに「えっ…これ読むの…?」と固まった一冊…。 ロシア文学ってなんでこうもヘビーなの!? しかし中身はおもしろくて、一章ごとがほどよい長さで映画を観るようにサクサクすすむ。 幻想の世界に迷い込みながらも、社会背景やキリスト教のことに詳しければきっといろんなメタファーを見つけられそう。 長さのわりにすんなり読み進められたのは訳の良さのおかげなので、新訳版に感謝! - 2025年6月15日
フルトヴェングラーかカラヤンかヴェルナー・テーリヒェン読み終わった感想図書館本おもしろかった! より名声と功績が大きかったのはカラヤンだが、音楽への姿勢と人間性はフルトヴェングラーの方が良い…。 大天才かつ自己評価がめちゃくちゃ高いカラヤンが、「自分が若い頃に苦労したから」と、若手の優秀な指揮者に早く成功への道をショートカットさせるべくコンクールを主催したけど、自分はほとんど顔を出さない上に、やってみたら「やっぱり若い頃の下積みって大事だったかも…」と思い直すところなんかは人間としての未熟さがありありと現れていて、痛々しくもあり、これこそ歴史の面白さでもあり。 「自分のような天才はもっと早く評価されるべき」という青臭い自己愛だったんだろうなぁ…。 カラヤンのわがままと独裁主義のせいでそれまで家族のように親密だったオーケストラも派閥が分かれてしまい、そこに加えて移動手段の発達によって海外ツアーの移動が短くなって、移動中に団員同士で長々とおしゃべりする時間がなく個人主義な団体になってしまった…という話は興味深かった。 社会のいろんな変化が重なって、組織はどんどん淡白になって個人主義化が進むというのはどんな時代にも言えることだと思う。 - 2025年6月6日
プロジェクト・ヘイル・メアリー 上アンディ・ウィアー,小野田和子,鷲尾直広読了。後編が楽しみ! ドラマ化するらしいので、ネタバレを踏む前に慌てて読んだ。 これは確かに、前知識ゼロで「これってどんな話?この先どうなるの!?」と思いながら読みたい。 本格宇宙SFながら、『星を継ぐ人』よりはライトで素人に読みやすく、『三体』ほど重苦しくない、ワクワク読めるSF。 それにしてもアメリカのSF作品を読むと、主人公がイキリオタクっぽい語り口調で「クッ……」となる。 - 2025年5月7日
もしもし下北沢よしもとばなな読み終わった感想図書館本このアプリで知って、気になって読んだ。 父親が、不倫相手と心中した。 取り残された娘と母の、再生の物語。 序盤は母親との会話がくどいし、終盤は15年前の価値観って感じだしで両手を上げて賞賛することは難しいのだけど、しかし現代の女性作家の小説からしか得られない養分がある。 ひとつひとつの展開には納得がいかないのに、最後の晴れやかな心情は自然とするりと心に入ってくる。不思議だ、どうしてこんなふうに読者の心を動かせるのだろう。 - 2025年5月6日
人間の土地サン=テグジュペリ心に残る一節旦那……わしにも土を掘るのが苦労だったことがござんした。リューマチで足が痛かったりすると、わしもこの奴隷仕事を呪いましたよ。ところがどうでしょう、このごろでは、わしは土を掘って掘って掘りぬきたいほどですわい。土を掘るってことがわしには、いい気持なんでさあ! 土を掘っていると、気が楽でさあ! それにわしがしなかったら、だれがわしの樹木の手入れをしてくれましょう? (p.58) - 2025年5月4日
私の最後の羊が死んだ河崎秋子読み終わった感想図書館本図書館で偶然出会い、知られざる「羊飼い」という職業について知れるかも!と手に取ってみた本。 読み始めると、ちょっと肩すかし。羊飼いや羊という生き物についての描写はかなり淡白で、あまり具体的なイメージが湧かない。冒頭数ページでしばらく放置。 図書館の返却期限が迫ったので仕方なく読み始めると、どんどん面白くなっていく…! 大学卒業とともにニュージーランドのワーホリで住み込みの羊飼い実習、20代は実家の酪農業と羊飼いのダブルワーク、そして父親の介護、小説家になるためのチャレンジ…。 めまぐるしく、充実しながらもしんどい30代。 先が気になって一気に読んでしまった。 自分自身も同じくらいの年齢で転機を経験してきたので、「やっぱりみんなそうなんだ」という安心感と、「今後自分にもこういうことがあるかもしれない」という心の準備ができる。 夢に向かって突き進んだり、無理をして体や心を壊したり、なにかを辞めた経験がある人に刺さること間違いなし。 自分も果敢にチャレンジしていこう、とパワーをもらえる一冊。本棚に並べてお守りにしたい。 - 2025年4月18日
ケインとアベル(上巻)改版ジェフリー・アーチャー,永井淳読み終わった感想読了。第一次世界大戦から冷戦期までの歴史とともに、アメリカの富裕層生まれで銀行家として無双するケイン、ポーランドでドイツ・ロシア軍に故郷を蹂躙され身一つでアメリカへ渡ったアベルの、数奇な運命。 プライドよりも大事なものが何もない2人の行動にはうんざり。 家族まで巻き込んで自分で自分を不幸にするのは見てられない。 エンタメ作品として、また歴史スペクタクルとして引き込まれる文章と構成力には脱帽するが、半沢直樹の「倍返しだ」を超スケールでやっている感じで、「世の中や人生には他にももっと素晴らしいものや大切なことってあると思うよ…」って感じ。
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