
むくげ
@hachisu_no_flower
2026年4月10日
戻り川心中
連城三紀彦
読み終わった
花を主に据えた五篇。花が見ていた、とも言えるかもしれない。無駄なものを削ぎ落としたような鮮やかな切れ味を彷彿とさせる文章で、表現や描写という面だけで、読んでいて思わず唸ってしまう。
悲劇的な結末を迎える五篇だったが、その中に日本文学的な(例えば、『曽根崎心中』だとか)悲劇らしさを感じた。「あはれ」とも表現できる読後感かもしれない。そう思うと、花が主軸である(花に人物の一生を重ねる)のも日本人らしさなのかもしれない。
また、(あまり触れるわけにはいかないが)私小説ということについても考えさせられた。改めて、私小説というジャンルは作家自身の人生や心身を燃え上がらせ、切り売りしているようにも感じた。その奔流が読者を魅了するようにも、また作家自身を捕らえ続けるようにも思える。
