読書猫 "我が友、スミス" 2026年4月6日

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2026年4月6日
我が友、スミス
(本文抜粋) ”これは致し方ない心情なのだが、ガリガリにマシンを譲って貰うより、マッチョに譲って貰ったほうが、格段に申し訳なさは増す。“ ”腕立て伏せの間、私の胸には奇妙な感慨が芽生えた。多幸感とでも言おうか、私は、自分は幸せだと感じたのだ。気の済むまで、誰にも邪魔されず、自分の身体を鍛えられること。それだけの時間と、金と、環境と、平和と、健康な身体が、私の手中にはあること。つまり、私は例えようもなく自由だということ。この瞬間がどこまでも続けば、私は何も言うことはない。“ ”女性は大変ですね。 こんな時に、あの発言を思い出す。あの悲痛そうな、同僚の顔が甦る。あたかも私が全治三年の大怪我を負ったかのような「あちゃあ」という表情。あの同僚は、優しかったのだろう。しかし、私は非情この上ないと感じた。 事は、その特定の発言に限った話ではなかった。今までの人生で行き合った、誰が悪いのではない、こうした追求先不明の違和感は、私の中で燻り続けた。どう処理すればいいかわからず、やがて、これという処理方法はないのだと、本能的に悟った。 そうして私に残ったのは、シンプルであり、そのために具体性に欠け、それでいて切実っぽい、一つの望みだった。曰く、ああ、別の生き物になりたい。“
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