
読書猫
@bookcat
2026年4月7日
ケチる貴方
石田夏穂
読み終わった
(本文抜粋)
“熱湯になけなしの理性を取り戻すと、私はお湯張りのスイッチを押した。すかさず体温の高そうなお姉さんが「お湯張りをします!」と唱える。ああ、何という時代だろう。このスイッチを押せばお湯張りには十分も掛からない。もし他の時代に生まれていたら、自分はこの年齢まで生き永らえていないのではとすら思う。”
(「ケチる貴方」より)
“人間の身体は、何はともあれ、絶対的なものらしい。この身体に生じる実際の痛みは、何にも勝る支配者なのだ。
私は、そのときに悟った。私の人生最大の試練は、たったいま、更新されたのだと。
人生最大の試練。
それは、「失恋から立ち直る」ことではない。
「内腿と膝上の脂肪吸引手術を受けた後に、その脚で家に帰る」ことだ。”
(「その周囲、五十八センチ」より)
