
読書猫
@bookcat
2026年4月8日
生誕の災厄 〈新装版〉
E.M.シオラン,
出口裕弘
読み終わった
(本文)
”失敗はつねに本質的なものであって、私たちに自分の素顔を暴きだしてくれるし、神が見るような視線で、私たちが自分を見ることを可能ならしめるからだ。ところが成功は、人間を含む一切事象の最奥部にあるものから、私たちを遠ざけてしまうのである。“
”取るに足りない屈辱が爆発的な力を持つことがある。挫折した欲望は人を強壮にする。現世から遠ざかり、現世への執着を断ち切るにつれて、人はいっそうその現世に大きな勢力を占めるようになる。断念は限りない力を恵んでくれる。“
”月並みという要素をたっぷり含まぬような、真の芸術は存在しない。異様なものを、相も変わらぬ流儀で用いつづける人間は、たちまち飽きられる。異例なもので埋まった単調さほど、我慢のならぬものはないからである。“
”作家は他のどんな人間にも増して、みずからの弱点を必要とする。弱点を制圧してしまえば、作家は破滅だ。だから作家は、めったに向上などしないよう気をつけねばならない。“
”何度か繰り返された失敗でも、失敗にはつねに新味がある。ところが成功のほうは、度かさなるとすっかり興趣が褪せ、魅力が消えてしまう。“
”ひとりの作家にしてやれる一番有益な奉仕は、一定期間、彼に執筆を禁ずることである。短期間の圧制こそが必要なのであって、あらゆる知的活動を中断するという形を取ることになるだろう。まったく中断のない表現の自由は、才能ある書き手をおそるべき危機に追いこんでしまう。“
”自己を表明すること、働くこと、どんな分野においてもそれは、程度の差はあれ偽装した狂信者の仕業である。なんらかの使命を授けられていると自負しなければ、存在することは困難であり、行動することは不可能だ。“
