
いちのべ
@ichinobe3
2026年4月11日

読み終わった
推理小説には、登場人物へ同情して犯人への(時には社会への)憎しみを掻き立てられるものもあれば、ロジック等がメインディッシュで人間はその構成要素のひとつでしかなく平静に楽しめるものもある……と感じている。
横溝正史作品を読み始めた時分は、罪の無い女性が酷い目に遭うたび嘆いたり怒ったりしていたのだが、数を重ねるうち、そもそも毎回「女性が酷い目に遭う環境(昭和初期の閉鎖的な村、封建的な名家など)」を舞台にしてるから、そりゃ毎回女性が酷い目に遭う話になって当たり前なのだと理解した。
なので横溝正史作品は「様式美」や「構造美」を楽しむものと思えてきたし、今回など第一章の章題から『ゴーゴンの三姉妹』なので、なるほどこの三姉妹は美しい構造のためのパーツとして扱われるのだなと予測&覚悟できた。
今回はホワイダニットの悍ましさは勿論、真相の残酷さ、虚無感が群を抜いていた。あまりにも登場人物の誰も報われないオチで、そういう最悪な話を好む自分は嬉しかった。
ちなみに今回は美女の描写より、「鏡花の小説にでも出てきそうな世にも美しい少年」を説明するこのくだりに目を惹かれた。
> その少年は、頭を短く刈っていた。生えぎわの美しさは、白粉をつけた子役の額のように、蒼くかすんで、におっていた。肌は白くて、上質の練り絹のような、おんもらとした光沢を持っていた。瞳は、黒くて、ふかく澄んでいたが、その底に、なんとなく頼りなげなうったえを秘めている。(p41)
