i. "みどりいせき" 2026年4月14日

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@rom-random
2026年4月14日
みどりいせき
みどりいせき
大田ステファニー歓人
僕は自分が恥ずかしくなった。春と動くようんなってから、学校でみんなが経験しないことを自分はこなしてる、って得意な気持ちに浸って、クラスの人らを動物を見るみたいにながめてた。みんなと違い、世の中の裏を知ってるし、そこへ身を置く覚悟も持ってて、僕は学生のフリしたリスクと戦う透明人間なのにこいつらは恋愛受験バイト部活交尾勉強、くだらない、って一瞬でもそんな優越を頼もしく思った自分が恥ずかしい。情けない。 ===== 両腕をあげて春が振りかぶった。軸足は怪我してないから根を張ったような体幹で右足を持ちあげる。ぼくは唾を飲み込む。上体がひねられ、腕が振られた。球はぼくの左手へ吸い込まれるようにグンと迫り、次の瞬間、人差し指と親指の付け根の水かきを弾いて鼻っぱしらに直撃した。 頭に弾けた閃光が、逆インフレイションを引き起こし、大風呂敷を広げた宇宙をプランク長以下のスケールへ折り畳み始める。そこには珍しくお父さんのいない日曜日があり、ぼくは算数の宿題をやっていた。チャイムが鳴らされた。「野球選手きてるよ」とお母さんが呼ぶので玄関へ向かうと練習用の白いユニフォーム姿の春が「ももちゃん、 野球しよ」と言って、ひとりで立っていた。
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