nogi "感情の海を泳ぎ、言葉と出会う" 2026年4月12日

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@mitsu_read
2026年4月12日
感情の海を泳ぎ、言葉と出会う
良い文章って何かを考えていくと、そもそも文章ってどんなもので、そこで使われている言葉ってどういう意味をもっていて、その言葉を使う私はどんな人間で、どんな思想で、どんな社会的立場にあって、その文章を、言葉を届ける相手をどんなふうに思っていて、その思いの裏に、言葉の裏に、無意識下に潜む優越感や差別意識に自覚があるのか無自覚なのか……そういうことを考えていく行為なのかもしれないと思った。 荒井さんの文章は真摯であるがゆえに荒井さん自身を削ってしまいそうに思えて、私には、やさしいよりもしんどいという気持ちが浮かびがちだったけれども、誠実な言葉がくれる安心感が、この本をするする読ませてくれたのだと思う。 p47 〝差別と闘う人物は崇高で尊い、あるいは、崇高で尊い人物こそが差別と闘えるという価値観は、差別と闘うには崇高で尊くあらねばならない、といった考え方と隣り合わせだ。 こうした思考の一歩先には、差別されたくないのであれば差別されないにふさわしい価値ある人間であらねばならないという、それ自体どうしようもなく差別的な価値観が待ち構えている。〟 p124 〝誰かが切実に表現したものを、切実に表現しようとする姿を、矛盾と受け取ったあの時の私の感受性は、いったい何だったんだろう。きっと、私は無意識のうちに、心は論理や理屈で説明できると考えていたんだと思う。論理や理屈では説明できないことなんて、世の中にも、私の中にも、たくさんあるはずなのに。〟 p163 〝私が本という言葉の塊に思い入れを持ち続けるのは、このあたりに根っこがあるのかもしれない。どうやら人は、自分に注がれてこなかった言葉を他人に注ぐことはできないらしい。与えてもらえなかった言葉を後から手に入れるために、人は本を読むのだろう。〟
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