時間のかかる読書人 "告白" 2026年4月12日

告白
告白
町田康
そう思った熊太郎はもう一度引き金に足指をかけ、本当の本当の本当のところの自分の思いを自分の心の奥底に探った。 荒野であった。 なんらの言葉もなかった。 なんらの思いもなかった。 なにひとつ出てこなかった。 ただ涙があふれるばかりだった。 熊太郎の口から息のような声が洩れた。 「あかんかった」 銃声が谺した。 白い煙が青い空に立ちのぼってすぐに掻き消えた。
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