mikechatoran "丸いもののもつ慰め" 2026年4月13日

丸いもののもつ慰め
丸いもののもつ慰め
クレメンス・J・ゼッツ,
犬飼彩乃
不思議な読み心地の短編集だった。人物も背景もほとんど説明されず、物語も展開が予想されるのに、予想通りにはならず閉塞もしくは終了してしまう。読者には不穏なぞわぞわ感とともにあれこれの想像が残される。あれこれと想像させられるために、妙にどの作品も心に引っかかる。奇妙な人々やできごとを描いていると言ってしまえばそれまでだが、ちょっとした不具合や不調和(著者の言うところのグリッチ)に注目するだけで、日常や現実はこんなにも異なる様相を呈する。ちょっとルビンの壺を思い出した。ゼーバルトを思い起こさせる「その猫はラランドの天空に住む」がよかった。「迷惑メール」もおもしろい。
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