ましろ "影に対して" 2026年4月13日

ましろ
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2026年4月13日
影に対して
影に対して
遠藤周作
美しい小説、遠藤周作は天才。 短編小説こそ、遠藤周作の真髄という評を再確認できる一冊。 遠藤周作の未発表の原稿が発見された、というニュースから読むのを楽しみにしていたが、関心が逸れてるうちに文庫で読めるようになっていた。 表題作「影に対して」は、あらゆる点で優れた小説だと思う。 場面の設定や人物の対比という"装置"が過不足なく配置されて、それぞれ求められる効果を期待される分のみ発揮している。またこのテーマを短編のうちに包摂させる技量が遠藤周作の美学だと思った。 個人的に印象深かったのは、「影法師」「還りなん」 「初恋」は単語が持つ甘酸っぱいイメージとは裏腹に、人間の心の汚い部分、ドロドロした部分、人生のせつなさ、みたいなものが感じられる文だった。 「影に対して」は2026年共通テストで出題されたとのことで、受験生は大変だっただろうなと思うなど。令和の受験生にとって、遠藤作品の時代背景は想像しにくいものがあるだろう。優秀な受験生が小説のスキルに気づいたとしても、物語の味を理解できるかどうかは、本人の感性次第だし。遠藤作品の持つ力に引き込まれて、冷静に問題を解くのが難しくなるかもしれないし。 当方が初めて遠藤周作を読んだのも、高校生のときだった。それまでの読書経験にはない衝撃を受けたのだが、人によっては遠藤周作を受け止める感性を持った高校生もいるということ。私と同じような衝撃を共通テストで受けた高校生がもしいたなら?と考えると、いるかも分からないそんな受験生に少し同情してしまう。
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