北本新聞縦覧所 "空白の天気図" 2026年4月13日

空白の天気図
空白の天気図
柳田邦男
力のあるノンフィクションはとんでもなく面白い。 登場人物たちを貫くのは職業倫理。倫理というよりその職を選んだ覚悟・責任と言い換えた方が適切か。 気象台に勤めるのであれば「観測精神」を持たねばならぬ、という教えが原爆が投下されようとも終戦を迎えようとも欠測ナシの観測記録に残り続ける。 そして原爆で壊滅状態の広島を蹂躙する枕崎台風。数千の犠牲の背景には戦時下に荒廃した山と荒廃した気象予報制度があった。 日々続く観測、そして困難を乗り越えて作られる原爆・台風の報告書の作成過程。そこからは眼前の事実に対する誠実さが真っ直ぐに伝わる。 人それぞれの「観測精神」を持っているのか?問われたような読書体験だった。
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