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北本新聞縦覧所
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@kitamoto_juran
ノンフィクション・新書・小説を好んで読みます。埼玉県北本市の小声書房さんの貸棚ブクブク荘の「北本新聞縦覧所」です。
  • 2026年9月15日
    太平洋戦争と銀行 なぜ日本は「無謀な戦争」ができたのか
    国破れてバランスシートが残った。 この一文を読めただけでも読む価値があった。 無謀な戦争の戦費を調達するために繰り出される金融技術。総力戦とは言葉通りで、金融界ももれなく巻き込まれていたんだな、と気付かされた。 外地の(中央銀行の)銀行員たちが戦禍に巻き込まれる中でも機能維持に努めるさまも丁寧に紹介されており、植民地の中央銀行としての矜持があったんだな、と複雑な気持ちにもなる。 個人的に好きだったのは、終戦間際のエピソード。汪兆銘政権下の中央銀行からの多額の借入を、暴騰した金(ゴールド)で返済し、実質的に帳消しにしてしまった話から、負けてもタダでは転ばない逞しさすら感じる。 太平洋戦争という無謀な国家プロジェクトも、それぞれの持ち場で組織を維持し、生真面目に機能を果たす人間がいたからこそ成り立っていたんだな、との感触を新たにした。
  • 2026年9月11日
    男子の本懐
    男子の本懐
    昭和戦前期に興味があるので、久しぶりに読み返した。読んだことすら忘れていました… 政治家・財政家(専門家)としての自負、国のためにはこの道しかないとの強い信念。首相浜口と蔵相井上は最後は凶弾に倒れながらも、金解禁を成し遂げることが男子の本懐であると奔走する。 金解禁とそれに付随する緊縮財政も必ずしも人気の政策であったとは言えないようであった。 翻って現代、消費減税という財政政策に打って出る上で、賛否はともかく浜口や井上のような定見を持っていることを期待したいし、信じたいものである
  • 2026年9月6日
    賃金とは何か
    賃金とは何か
    『ジョブ型雇用社会とは何か』の続編として読まれることを前提に書かれているように思う。 結論、ジョブ型的賃金(職務給)や産業別労働組合の不存在が日本の労働者の賃金を構造的に上がりづらくしている。 そうした構造を賃金の角度で切り、歴史的経緯やこれまでの議論が詳述されている。 ベースアップ(ベア)を勝ち取るために労働組合やナショナルセンターが組み立てた論理が、バブル崩壊後にベアをしない企業側の論理となった点に皮肉を感じる。
  • 2026年9月6日
    アンダーグラウンド
    実は村上作品を初めて読む。地下鉄サリン事件の被害者に対するインタビューで構成されるノンフィクション。 死者○人、重症者○○人と数字で報道される大事件の裏には一人ひとりの人生がある、と何か起こる度に言われることを詳細なインタビューをとにかく読ませるという形で徹底的に示したことに意味がある。 「そこで何が起こったのか」が被害者ごとの多様な視点で繰り返し述べられる。明日の通勤電車で何か起こったら…という想像が否応なく膨らむ。まえがきで書かれていた、たまたまそこに居合わせただけで、後遺症で仕事が思うようにいかなくなり会社にいられなくなった被害者は、その後果たしてどうなったのか。本書を通じて被害者と私の垣根が低くなったからこそ考え込んでしまう。
  • 2026年8月30日
    黙殺 報じられない“無頼系独立候補”たちの戦い
    面白かった。 泡沫候補と一括りにされ、メディアで報じられることのない(ネットで言われる「マスゴミは報じない!」とは違い、本当に報じられない)無頼系候補者たちを追ったノンフィクション。 各候補の強烈なエピソードや、長期間追ってきたからこそ見える意外と真面目な人となりなど、読み応えのある面白い詳細は本書を読んでもらうとして、日本の民主主義に対する著者の一貫した問題意識に頷かされた。 民主主義がより良くなるためには、選択肢は一つでも多い方が良い。決して安くない供託金を払い、有権者の選択肢を増やす行動を取った、人生を賭ける覚悟を持って出馬した候補者に対し、単なるイロモノとして冷笑的な目線を向けるのはいかがなものか。という問いだ。 先日、本書にも登場する後藤輝樹氏の訃報に接した。その際は「変わったポスターで出馬してた泡沫候補の人ね」と思うのみだったが、この本を読み人となりの一端などを知ると、本気で何かを変えようとした人物を失ってしまったのではないか、と喪失感のようなものすら感じた。 本気で何かを訴えようという立候補に対してはリスペクトを忘れないようにしたい。 また、選挙ウォッチャーの著者が近年のポスターハック術のような選挙活動に対してはどんな意見・感想を持っているのか、気になってきた。Twitter見に行ってもいいし、本書以後に出てる本があれば手に取ってみたい。
  • 2026年8月22日
    IN
    IN
    桐野夏生の描く人間は人の形をしている。 気に入った点 小説内小説である『無垢人』の描写。途中で読むのが嫌になる程、人間の浅ましさや狂おしさが表現される ラストで千代子が書いているという"恋愛小説"の中身 弓実に対する悪意溢れる追悼文の気持ち悪さ 最終章のタマキの状況が⚪︎子と緑川、千代子の状況と重なり合う構成 点で見ても面で見ても、最高に気持ちの悪い(とても褒めている)小説でした。
  • 2026年8月16日
    なぜ悪人が上に立つのか
    なぜ悪人が上に立つのか
    大変面白かった。 権力を握る者はなぜ悪人なのか。悪人が権力に引き寄せられるから?善人であっても権力を持つと悪人になってしまうから?我々が悪人を権力者に選んでしまうから? 様々な角度から丁寧に、豊富な事例を挙げて論証を行い、現代社会の権力構造が鮮やかに描き出される。 文章自体の面白さも特徴で、硬いテーマでありつつも「ふふっ」と笑えるレトリックが散りばめられている。 権力を腐敗させないための方策も示されており、組織を不正なく活性化させることも夢ではないと思えることができる。実現は難しいかもだけど。 明日も明後日も組織で生きていくサラリーマンにこそ読んでもらいたい本でした。
  • 2026年8月12日
    サカナとヤクザ
    体当たりも含めた粘り強い取材でサカナ(漁業)に絡むヤクザ(裏社会)を追ったノンフィクション。 闇夜からヤクザを引っ張り出してきて強烈なスポットライトを浴びせたような詳細さ。危険や苦労も多かったに違いないのは伝わるが、そこの筆致はくどくなく、あくまでも事実ベースの書き振り。だからこそ密漁や密輸の闇の濃さ・深さが浮き彫りになってくる。 小説にしろノンフィクションにしろ正直に言うと解説は印象に残らないタイプなのだが、大根監督の「それでも俺は魚を食う」という堂々宣言も含めて良かった。 俺も魚を食う。しかしこの本で知ったことを踏まえてなるべく正しく消費したい。正しく消費できなかったとしても後ろめたさは持っておきたい。
  • 2026年7月28日
    天使の囀り
    天使の囀り
    とんでもなく面白い小説を読んでしまった。 アマゾン探検隊のメンバーたちが帰国後、謎の死を次々と遂げる。 その謎を追っていくと驚きの原因が…というのがざっくりあらすじ。 本筋そのものも面白くページをめくる手が止まらないのはもちろん、登場人物一人ひとりの弱さがなんとも人間らしく、その弱さが謎を解く一つの鍵でもある。 ネタバレに近いかもですが、 真梨幸子の小説に似たような本もあったなぁ。どちらも精密な描写が気持ち悪さを誘い、そこが魅力 まずは手に取って欲しい本です。初見で読める人が羨ましい!
  • 2026年7月26日
    1兆円を盗んだ男
    1兆円を盗んだ男
    最初から最後まで、サムは誤解され続けてきたのか。はたまたそれは他者からどう思われようが構わないという意思の表れなのか。 理屈で考えれば分からなくもない効果的利他主義という思想を面白く知った。 収益も出ていていよいよ効果的利他主義に基づいた投資が始まるフェーズならば、学生ノリのベンチャー気質な会社から、安定して収益の上がるがうるさい大人たちに支配されるコンプラがしっかりした会社に脱皮させる必要があったんじゃないだろうか。
  • 2026年7月20日
    嘘つきジェンガ
    "黒"よりの辻村作品でした。 心が弱っている時にあまり読むもんじゃないですね…笑 相変わらずめちゃくちゃ面白かったです。
  • 2026年7月16日
    天皇機関説タイフーン
    天皇機関説事件そのものというよりは、天皇機関説事件を軸に人や言論がタイフーンのように揺り動かされてゆく様を史料をもとに描かれる。 天皇制を絶対君主であると一般国民に教育する「顕教」と天皇を明治憲法によって機関として位置付けるエリート層の「密教」がある。陸軍は密教の中で顕教を頑なに維持しており、その体制内矛盾の発露が天皇機関説事件であった。 2.26事件の黒幕とされ、戦前陸軍の暗い影を代表する真崎甚三郎を三島由紀夫や秦郁彦、そして昭和帝の評価を通じて掘り下げる部分などは興味深く読まされた。 読了はしたものの、読みづらかったというのも本音。史料を掘り下げる途中で寄り道的に別の話も差し込まれる。そのため時間軸も読み取りづらく、頻繁に迷子になった。読みにくい司馬遼太郎といった印象。 はなから司馬遼太郎と違い大衆に読みやすい内容を提供しようといった姿勢ではないのだろうが、私のような浅学非才な者は苦戦してしまった。 昭和史への理解を深め、精読のようなことが多少なりともできるようになったらもう一度挑戦してみたい。
  • 2026年7月14日
    幽霊たち
    幽霊たち
    短いが味のある作品だった。 この作品はやはり色がポイントだと思う。ブルーの想像の世界に入ると、不思議と色味のある世界が展開される。 現実のブラックやブルーの世界は寒色やモノクロのように想像される。 読書体験として面白い。 退屈は自身との対話を促す。想像力を加速させる。 ラストの一文もフリが効いていておしゃれ。 自分だったら手に取らない本だったが、人に勧められた本を素直に手に取ってみるというのも新しい体験ができてよいものですね。
  • 2026年7月13日
    砂戦争 知られざる資源争奪戦
    そもそも、砂が貴重な資源である認識が薄かった。 砂を利用したモノがいかに日常に溢れ、砂をめぐって国家や「砂マフィア」までもが暗躍し、世界で奪い合っている資源であることが理解できる。 終盤は日本人と砂がいかに向き合ってきたか、実例とともに紹介される。新しい日本史の切り口で面白く読めた。 敢えて言うなら、最後が「果たして物質的に豊かになって我々は幸せになったのだろうか」という、手垢に塗れた定番?ポエムで締められたのことが残念。言いたいことは分かるが、陳腐な本という印象の読後感になってしまった。 つい先日も毎日新聞で砂資源を巡る大型の記事が出ていた。これからの世相を読み解く上で読んでおいて損はないように思う。 https://mainichi.jp/articles/20260709/ddm/003/040/108000c
  • 2026年7月10日
    新世界より(下)
    大変面白かった。 感想がまとまらないのでそのうち書きたい
  • 2026年7月7日
    真珠とダイヤモンド(下)【毎日文庫】
    とんでもない疾走感でバブルを駆け抜けた。 登場人物たちは皆、カネに取り憑かれカネに踊り最後はカネに裏切られる。 バブルが崩壊すると読み手は分かっている。だからこそ、登場人物の強気の行動に胃が痛くなるような焦燥感を覚える。 いわば「転落」という分かっているオチに向かって、癖がある魅力的な登場人物たちはどんな風に辿り着くのか気になって先を急いで読み切った。 序盤のミスリードが効いていて、最終的なオチが読み切れなかった。いい意味で裏切られて最後まで楽しめた。 万人におすすめの小説でした
  • 2026年7月7日
    新世界より(中)
    世界の謎の片鱗が垣間見えつつも節々から漂う違和感。下巻に手をつけるのが楽しみでもあり怖くもあります
  • 2026年7月5日
    新世界より(上)
    知人に勧められて読み始めた。続きが楽しみ
  • 2026年7月1日
    日本海軍400時間の証言
    日本海軍400時間の証言
    ずっと気になっていた本をようやく読めた。NHKスペシャルの内容をさらに掘り下げたノンフィクション 本書のテーマは『組織と個人』。 内心では無茶な作戦だと思っていても、そんなことをしては人道にもとると分かっていたとしても、このままでは国家が滅びると予想できたとしても、組織の空気に迎合し保身に走り、声を上げない。 海軍屈指のエリート集団である軍令部の元将校たちは現場の一兵卒を、無辜の民間人を、そして国家そのものを緩慢に死へと追いやった。 Nスペの放送タイトルがストレートに内容を表している 第1回 海軍あって国家なし 第2回 やましき沈黙 昔のことを高所から批評するような無責任さを許してくれない力がこの本にはある。組織で働く全ての人間に心当たりがあるような個々人のちょっとした無責任やその場その場での辻褄合わせが膨れ上がり悲劇的な敗戦へと繋がっていく。 全く自分とは関係ない、と言えない人はいないのではないだろうか。 --------- 以下、刺さった一節 「"反戦平和"というのは誰にも批判できない正論で、あまりに正論過ぎて思考が停止したり、反論や疑問の意見を抑え込んだりする恐れがある。(中略) 当時の背景や事実関係をしっかり踏まえた報道をしてほしい」
  • 2026年6月30日
    真珠とダイヤモンド(上)【毎日文庫】
    舞台はバブル真っ盛りの証券会社。 土地を担保にした財テク、NTT株、金に踊り踊らされていく登場人物たち。後世の私たちにはハッキリわかる死亡フラグが散りばめられた桐野夏生らしい不穏さに満ちた上巻。 下巻も楽しみ。
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