トロ "宙ごはん" 2026年4月14日

トロ
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@tontrochan
2026年4月14日
宙ごはん
宙ごはん
町田そのこ
読み終わりました。町田そのこさん著なので、またわんわん泣いちゃう話だったらどうしようかと思いましたが、深く心の奥に染み入るような、満たされたような読了感に包まれてます。優しい気持ちになるって、こういう感じなのかなーと。 物語は、育ての親である『ママ』と生みの親である『お母さん』、二人の母親がいる宙(そら)を中心とした五つの短編が収録されたストーリー。哀しくて苦しくてどうしたらいいかわからない時、無償の愛情と料理に救われた彼女と、その周辺でいたたまれない境遇にある人々を料理と愛情で救っていく…というようなお話です。女の子一人が成長すれば環境も人間関係も大きく変わるし、優しくしてくれた人が変貌してしまう話もありました。でも、これは実社会でも当たり前なんだと思います。人は永遠に今この瞬間胸にある気持ちではいられないし、ずっと同じように自分に/誰かに寄り添ってくれる訳ではない。大切なのは傷付いた心を癒す事ではなくて、明日をどう生きていくか。 作中に「『絶対自分で子どもを育てないといけない』と思わないこと」「ひとに預けてもいいのよ」「安全な場所で健康なひとにしっかり育ててもらえる方がいいじゃん」と、宙の生みの親が言う台詞かあるんですが、この人が全然母親らしくないんです。子どもより仕事優先だし、不倫相手である目上の男性との会食に宙を同行させたりする。「女」なのかもまた微妙なところで、母親然として感じる事もあれば年上の話しやすいお姉さんになったり、自分の世話も満足にできないぐうたらな人になる。でも、上記の彼女の台詞に、私は救われた気持ちになりました。 人によってはなんて無責任な言葉なんだと思うかもしれません。それでいいと思います。変わっていくものもあれば変わらない想いもある。料理を通して哀しみに向き合うことも出来るし、乾いた心に水をあげる事も出来る。どうするかなんてその人にしかわからないのだから、それでいい。正解だという母娘関係はないけど、不正解だという人間関係もない。 美味しいご飯をたくさん食べて、嫌な事にも向き合うだけの活力が得られる。そういうお話でした。
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