
okataro
@okataro007
2026年4月15日
伝説とカフェラテ
トラヴィス・バルドリー,
原島文世
読み終わった
最近、SFやシビアな話ばかり読んでいたので、表紙から漂う穏やかな雰囲気に惹かれて手に取った一冊。物語は、元傭兵の主人公ヴィヴが、とある町を訪れ、珈琲店を開こうと決意するところからはじまる。
店の外観づくりからメニューづくり、店内の雰囲気を盛り上げるための人員づくりまで、一つずつ積み上げるように店を作っていく過程が描かれる。ゲームでクエストをこなしていく感覚に近いのかもしれない。そのたびに訪れる人も増えていき、知名度も高まっていく。パン職人のシンブルがシナモンロールを売り出すあたりからは、店そのものが活気と優しさに包まれていく。
そんな中、その土地を仕切る団体との軋轢や、かつての仲間とのいざこざが起こり⋯⋯。ヴィヴは「何のために店を開いたのか」という、自分の選んだ道と向き合うことになる。
読み終わったあと、カフェラテが飲みたくなるのはもちろんのことだが、私たちが持ちがちな「種族(ファンタジー上の)」に対するイメージをやわらかく覆し、その土地で生きている者たちと、過剰ではないささやかな「誰かを思う気持ち」を感じさせてくれる作品だった。


