
柴犬
@storyseller
2023年5月6日

汝、星のごとく
凪良ゆう
かつて読んだ
[会おか]
メッセージを送ると、[浜で待ってる]三秒で返ってきた。
俺たちはもう駄目かもしれない。悲観ではなく現実の話だ。十七歳で、これから世界が広がって、環境も考え方もみるみる変わっていくだろう。それらを常に擦り合わせ、愛情を保っていく。それを遠距離でどこまでこなせるだろう。
待ち合わせたいつもの近辺で、俺たちは腐るほど約束を交わした。
メールやメッセージでいつでも連絡できる。声が聴きたかったら電話がある。状況が改善したらすぐに東京にくればいい。長い休暇は一緒に過ごそう。
好きだとか、いつも想っているとか、浮気はしないとか、言えば言うほど不安が増していくのを感じながら、それでも言わねばならない矛盾にほとほと疲れてきたころ、「おーい」と呼ばれた。護岸ブロックを仰ぎ見ると、海岸線に軽トラックが停まっていた。運転席の窓からスナックの常連客が身を乗り出している。