読書猫 "向田邦子ベスト・エッセイ" 2026年4月13日

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2026年4月13日
向田邦子ベスト・エッセイ
向田邦子ベスト・エッセイ
向田和子,
向田邦子
(本文抜粋) "「東京から転校してきた子が、これをおいしいといったから連れてきた」 というようなことを言って泣き出した。 母親に立ち向う、という感じだった。 帰ろうとする私の衿髪をつかむようにして、母親は私をちゃぶ台の前に坐らせ、丼いっぱいの壺漬を振舞ってくれた。この間、三十八年ぶりで鹿児島へゆき、ささやかな同窓会があった。この人に逢いたいと思ったが、消息が判らないとかで、あのときの礼はまだ言わずじまいである。" (「お弁当」より) "一つだけはっきりしているのは、これは人間とのつきあいにしても同じことだろうが、馴染めば馴染むほど判らないということだ。恐ろしくカンが鋭くて視線ひとつで、こちらの心理の先廻りをするかと思うと、まぎれもなく野獣だな、と思い知らされたりもする。甘えあって暮しながら、油断は出来ない、その兼ねあいが面白い。" (「猫自慢」より) "どんな小さなことでもいい。毎日何かしら発見をし、「へえ、なるほどなあ」と感心をして面白がって働くと、努力も楽しみのほうに組み込むことが出来るよう思うからだ。私のような怠けものには、これしか「て」がない。" (「わたしと職業」より) "生れ変りでもしない限り、精神の整形手術は無理なのではないでしょうか。 私は、それこそ我ながら一番イヤなところですが、自己愛とうぬぼれの強さから、自身の欠点を直すのがいやさに、ここを精神の分母にしてやれと、居直りました。" (「手袋をさがす」より)
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