
とろん
@toron0503
2026年4月3日
川のある街
江國香織
読み終わった
ネタバレあり
「川のある街」をテーマにした短編集で、三編収録されているけれど舞台はすべて違う街。
特にⅢ章がめちゃめちゃ良かった。『左岸』の父親の介護や徘徊の描写、『抱擁、あるいはライスには塩を』の祖母の視点の描写など、江國は近年「老い」について描くようになっているし、これがはじめての試みでもないのだけれど、これは特に自分が壊れていく怖さやさびしさの合間に過去のうつくしかった思い出や景色が混じり合い、猛烈なせつなさが喚起させられる。
Ⅰ章は小学生の視点でなんとなく『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』っぽさがあって、眼に見えているもの全部描写する感じがあった。Ⅱ章はカラスの視点が混じっているのが独特だったけれど、個人的にはこれはない方が真凛や麻美のエピソードが増えて、読みごたえがあったような気がした。カラスたちだけの視点の話の方がいいというか。
各章を横断するキャラクターというのは特にいないけれど、「川」でそれらの街は互いに繋がっていて、それぞれの人物たちの営みは関わりのないまま続いている…というふうに考えればいいのかもしれない。


