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とろん
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@toron0503
読んだ端から忘れていってしまうので、はじめてみることにしました。
  • 2026年5月13日
    此の世の果ての殺人
  • 2026年5月12日
    さびしさについて
    さびしさについて
    植本一子の『かなわない』を読んだときは衝撃だった。 なんというか、なぜこのように考えてしまうのか、なぜ相手にこのような言葉を投げつけて、こういう行動をとってしまうのか。日記という体裁なのでわりと剥きだしのまま、つぶさに書かれているのだけど、まったく理解できず…なぜここまで書いてしまえるのかとすら思うのだけど、それでもそこに書かれていることを自分がまったく思ったことがなかったか、あるいは考えようとして、行動しようとして、先に打ち消したものではなかったか、という自問のようなものが湧いてきて、苦しいのに読むのが止められない、という不思議な読書体験だった。 今作は日記ではなく往復書簡という体裁で、実際はそうではなかったのかもしれないけれど、そのためかとても落ち着いているような印象だった。『かなわない』から10年以上は経っていることや、植本一子の母親との関係が変化していることも大きいと思う。また、互いに慎重に言葉を選んでいる雰囲気があって、それも良かった。日記の方は生っぽさはあってファンも多いのかもしれないけれど、わたしは少し加工された方が好きかもしれない。 滝口悠生は芥川賞作家(日記屋月日のイベントにも出ていた?)ということくらいしか知らなかったのだけど、なんというか感情の流れやクセが自分とかなり似ていた。「怒り」への耐性や、肉親や他人からの距離の取り方、言葉への粘り方など。 彼の書く小説も気になるけれど、エッセイがあれば読んでみたいと思った。
  • 2026年5月10日
    ギリシャ語の時間
    ギリシャ語の時間
    『別れを告げない』が非常に良かったのでこちらも読んでみた。とても良かった。 一時的に発語することができなくなった女性と、遺伝疾患によってゆっくりと眼の見えなくなってゆく男性が古代ギリシャ語の勉強を通じて出会う…と書くとどうしても「余命モノ」っぽさが出てしまうのだけど、これは互いの存在が支えになる、という展開ではなく、それぞれはそれぞれの問題として変わらず。 そして男性と女性を取り巻く酷い境遇が変わった訳ではないのだけれど、希望が持てる終わり方になっていたとも思う。ハン・ガンの現在と過去、現実と幻想が入り混じる描き方も功を奏していたと思う。 女性は言葉で規定された世界(と解説には書かれているが「ハングルで規定された世界」なのかもしれない。別の言語を学んで世界を取り戻そうとしているので)に幼い頃から順応できなかった。これは、言葉にすると取りこぼしてしまうものに対して過剰に意識を向けているからなのかな、とも思ったりした。 この女性はある意味では極端だったりするのだろうけれど、例えば言語化して本当に言いたかったことと少しずれたり、却って意味を固定してしまったりすることがある。 それ自体は言葉という特性上仕方のないことだし、そうしないと「伝える」ということがそもそも難しくなるわけだけれど、確かに違和感はある。 でも勿論、伝えなければいけないので完璧に意味に沿う言葉を探す方をあきらめる。女性は逆に、伝える方をあきらめて、言葉を探すことに粘っている…そういう意味で、女性は世界に、自分の思っている感情をそのまま言語化できるような言語に、まだ期待しているようでもあった。本書のテーマとはややずれるのかもしれないけれど、そういうことも感じられた。
  • 2026年4月27日
    奥田亡羊全歌集 ぼろんじ
    特に好きだった歌を、 くたびれた軍手が燃えるうつくしさ友は眠りぬ我も眠らむ 犬走る、俺走る、犬もっと走る、菜の花だけになって河口よ 風に草光るよ君に会いにゆく顔の裏まで春のがらんどう 歯を磨く俺が笑っていたようだ 顔の中から顔が生まれる 朽ちてゆく家に放ればふかぶかと石がこの世を抱きしめる音
  • 2026年4月27日
  • 2026年4月27日
    別れを告げない
    別れを告げない
  • 2026年4月27日
    奥田亡羊全歌集 ぼろんじ
  • 2026年4月24日
    1809ナポレオン暗殺 (文春文庫 さ 32-1)
    佐藤亜紀のファンなので、独特の一人称やパスキ大尉、ウストリツキ公爵のダークな魅力(なんとなく鶴見中尉っぽさがある…)、オーストリア貴族の描写(『バルタザールの遍歴』でも感じたような)を楽しんで読めた。 ただ一方で、歴史的な注釈や補足が何もないので、予備知識がないといったい何が起こっているのか…どういった戦争なのか、主人公はどういった状況なのか、1809年はどういう年だったのか、などがないと十全に楽しめるかは難しい気がする。『黄金列車』や『ミノタウロス』には地図くらい付記されていたのだけれど、今作はそれもなかった。 予備知識がないとストーリーに置いていかれるのは歴史物・戦記物の宿命なのかもしれないけれど、これまでの佐藤作品ではwikiなどを調べないと何が起こっているのか解らない、みたいな状況はあまりなかった気がする。…と、いろいろ書いてはいるけれど、自分は結局佐藤亜紀のファンなので面白かった。 あと佐藤亜紀の描く男性は、だいたい女で身を持ち崩すのも興味深いなと思う。
  • 2026年4月20日
    別れを告げない
    別れを告げない
    すごいものを読んでいる…という感覚が終始あった。ハン・ガンを読むのは今作がはじめてなのだけど、彼女の作品がしばしば形容される「眼を覆いたくなるような酷いことが書かれているのに、うつくしい」という、その相反の表現が解るように思った。 極めてリアルで、資料や取材に基づいて書かれているのに、幻想的な展開が上手く融合されている。それでいて難解と感じず、物語の進むリズムもとても安定している…つまりは小説として完成されすぎていて呆然としてしまう。雪や鳥のモチーフの使われ方も素晴らしかった。その他の作品も読んでみようと思う。 特に心に残って好きな場面は、キョンハが済州島のインソンの家に向かう途中、あまりに激しい雪のためしゃがみこんでしまうところ。 「それらの水滴と砕け散る雪の結晶と血の滲んだ氷とが同じものでなかったはずが、今、私の体に降りかかっている雪がそれらではないと、いえるはずがない」
  • 2026年4月16日
    パースペクティブ
    特に好きだった歌を、 積年はまるでヘルター・スケルターわたしを助けられない わたしも 秋になりフードコートはあっけなく他人のきみを他人に見せる 夏草を戦がす風にまぎれくるカレン・カーペンターの拒食は ゆたゆたと排水口へと流れゆく烏賊から離れた眼球を追う 鏡にはうつらないから気持ちだね 寒い季節に減りゆく錠剤
    パースペクティブ
  • 2026年4月15日
    明日、あたらしい歌をうたう
    角田光代作品はこれまで何度か読んできたのだけれど、そのつど自分の好みとはちょっと違うなあ…と思っていたのだけれど、これは面白かった。登場人物や構成もシンプルで、基本的にいいひとたち(くすかの両親からのネグレクトはあるけれど…)で構成されているからかもしれない。 個人的にはくすかが時生の両親と関係を絶ってしまい、葬儀の手紙すら開封しなかったことについて「自分がひどいことを言ってしまいそうだから」という述懐があまり腑に落ちなかったのだけれど、両親に愛された経験のなさによるものとして考えれば良いのかもしれない。思えば彼女の、人間関係が一度破綻して修復された例は時生しかなかったわけで。 新がバンドを再開することになったけれど、別に新はバンドで有名になりたい訳でもないし、趣味として続けていきたいというのでもなくて、そのあたりの微妙な感情のニュアンスの描き方がわりとしっくりくる感じだった。「部活や趣味に本気」→「青春」みたいな構図ではないというか。『違国日記』の朝の軽音部での活動に近いものがあるなと思ったりした。
  • 2026年4月12日
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    朝日新聞社のポッドキャスト「好書好日」で勧められていて、気になっていた。 SF特有の語彙や世界観は存在しつつ、それでいて入りやすい。はじめてSFを手に取る人にもおすすめできそう。 短編だということもあるのかもしれないが、現在進行形で世界に起こっている問題(移民、シングルマザー、優生思想、母娘のアンビバレントな関係…)を提示してくれている、ということもある気がする。SFはもともとそのような現実問題を物語のなかで提起することに長けたジャンルだろうけれど、この作者はそれをほとんどシームレスにやってのけている気がする。軽めの物語として出されているが、そう感じられるのはこの作者の技術によるものだと思う。 特に好きだったのは『わたしのスペースヒーローについて』。ネットで知り合ったシングルマザー(子持ち)同士で暮らしはじめた、という設定には韓国のエッセイ『女ふたり、暮らしています。』を彷彿とさせた。そういう暮らしがマイノリティではなくなった未来がさりげなく提示されているのも興味深い。 『館内紛失』も良かった。『感情の物性』も面白い設定だったけれど、これはもっと長い話で読みたいようにも感じた。
  • 2026年4月4日
    わたしたちが光の速さで進めないなら
    わたしたちが光の速さで進めないなら
  • 2026年4月3日
    川のある街
    川のある街
    「川のある街」をテーマにした短編集で、三編収録されているけれど舞台はすべて違う街。 特にⅢ章がめちゃめちゃ良かった。『左岸』の父親の介護や徘徊の描写、『抱擁、あるいはライスには塩を』の祖母の視点の描写など、江國は近年「老い」について描くようになっているし、これがはじめての試みでもないのだけれど、これは特に自分が壊れていく怖さやさびしさの合間に過去のうつくしかった思い出や景色が混じり合い、猛烈なせつなさが喚起させられる。 Ⅰ章は小学生の視点でなんとなく『ヤモリ、カエル、シジミチョウ』っぽさがあって、眼に見えているもの全部描写する感じがあった。Ⅱ章はカラスの視点が混じっているのが独特だったけれど、個人的にはこれはない方が真凛や麻美のエピソードが増えて、読みごたえがあったような気がした。カラスたちだけの視点の話の方がいいというか。 各章を横断するキャラクターというのは特にいないけれど、「川」でそれらの街は互いに繋がっていて、それぞれの人物たちの営みは関わりのないまま続いている…というふうに考えればいいのかもしれない。
  • 2026年4月2日
    殺し屋の営業術
    めちゃめちゃ面白かった。テンポも良いし、キャラクターも非常に立っていて魅力的だった。 ブラック会社の営業ノルマさえこなし「虚無」になっていた主人公が、ある事件に巻き込まれて殺し屋チームの営業になることに…そしてそれは「天職」と感じられるわけなのだけど、殺し屋チームと友好的になったり、団結力を高めたり、あっさり「殺し屋」としての倫理になじめるか…というとそういう訳ではなくて、そのあたりの一筋縄ではいかない展開や微妙な心理の描き方が上手かった。なかなかダークな展開なのに、引き込まれてしまう。 鳥井の努力型サイコパス感や、飼っていたヨウムをアレするシーン、またはラストのカーチェイス?中の謎解きにはなんとなく松井優征作品を彷彿とさせた。自分もネウロ大好きなのでたまらない。籠原さんの登場シーンがかなり控えめだったので、続編もあったらいいなと思う。
  • 2026年3月31日
    殺し屋の営業術
  • 2026年3月31日
    川のある街
    川のある街
  • 2026年3月31日
    千夜曳獏
    千夜曳獏
    特に好きだった歌を、 点けないで。月でいいから。ブラインドずらすため伸びてく腕、僕の 人生が何度あっても間違えてあなたに出会う土手や港で 耳鳴りは竜の泣き声、大切にされずに育った灰色の竜 擦り切れるまで聴いている、雨の音ええなあ、というあなたの声を 花束を一度ボンネットへ置いた、遠くへ言葉を飛ばそうとして
  • 2026年3月31日
    侍女の物語
    侍女の物語
    長いあいだ積読だったのだけど、なんとなく読みはじめた。本に呼ばれたような感じというか、現在の社会情勢と合致するところが多い…ギレアデ共和国はイラン、ロシア、ナチス時代のドイツなどの特徴があるけれど、核戦争?後のアメリカがテロリズムによってディストピアになった姿でもある。アメリカも一歩まちがえば、敵対する国々と同じ価値観になる可能性を示唆しているようだった。 ギレアデ共和国の文化や教義はオリジナルなものはなくて既存のもののコラージュであることも興味深い。かなり残酷な場面であった終盤の「共同制作」ですら、シンポジウムで諸外国であった風習であることが明かされている。 このシンポジウムの章が効果的なのかはあまりよくわからない。ギレアデ共和国が滅んだことは希望ではあるけれど、元ネタというか舞台裏を最後に見せられている感じがして…読み手にぜんぶ委ねてしまっても良かったのではと思う。 オブフレッドは「受け身」とされているが、自分の発言や言葉の選び方に慎重で、かつ男性と駆け引きをして、闇市の品を手に入れたりと男性を「操縦」している印象だった。 ただオブフレッドがニックと逢瀬を重ねる展開は、娘に会いたいという気持ちも忘れてしまったようで、若干の腑に落ちなさがあった…しかし「わたしは娘の影になった」という一文から、娘に忘れられたから自分も忘れようとしているようでもあり、「からっぽ」を欲で満たそうとしているようでもある。 政府に対してレジスタンスな活動をしている(していた)モイラや母親と対比させる意味もあるのかもしれない。 続編の『請願』ではリディア小母が語りになる章があるらしく、非常に気になるところ。
  • 2026年3月20日
    探偵小石は恋しない
    めちゃめちゃ面白かった。 会話がかなり多いのだけど、テンポが非常に良くて、ただだべっているような中だるみ感が一切ない。漫才をテーマにした小説も書かれているようなので、こういった掛け合いが得意ということもあるのかもしれない。 伏線の張り方、違和感の配置の仕方も絶妙だった。ミステリを読んでいるとたまに、そんなにわざとらしくなくても読者は気づくので…というような部分が出てくるのだけれど、この作品はその塩梅がとても良かったと思う。読者を信頼して手渡してくれている感じがあった。 ミステリを普段からわりと読んでいるので、作中に散らばった往年のミステリネタもたまらない…夢水清志郎ネタや乙一の『GOTH』(ふんだんに叙述トリックが駆使されたミステリなのでさりげない伏線だったのかも…)が出てきたのも嬉しい。でも、そのあたりのネタを知らなくても全然楽しめると思う。
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