むくげ "ハンチバック" 2026年4月15日

ハンチバック
ハンチバック
市川沙央
この作品は、100ページにも満たない短い小説である。しかし、短いのにも理由があると感じた。この作品の言葉にはとてつもない重みがある。命を削って書いたような、壮絶な痛みを伴う文章がゆえに、この作品はこの長さで終わっているのかもしれない。 自分が涅槃にいる心地というものは、どのようなものだろうか。涅槃という境地に至っているだけで、実感が伴わないとしたら、心の中には泥が溜まっていく一方なのではないか。肺の中に痰が溜まって吐き出せないように。生きるために壊れたのか、使わないから壊れたのかという命題は、まさしくハンチバックはモナ・リザになれないということが答えともいえる。そういう意味で、作中最後の章は、涅槃を清らかに保つために不可欠な部分だったのかもしれない。
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