
沙南
@tera_37
2026年4月16日

姦淫に寄す
坂口安吾
読み終わった
「九段坂下の裏通りに汚い下宿屋があつた。冬の一夜、その二階の一室で一人の勤め人が自殺した。」
安吾作品ばかり読んでいる方を見つけて、私も真似して読むことにした。
頁をめくりながら始終、動悸がしていた。
不快なものではない。かといって、高鳴り、と表現するのも相応しくないし、ときめき、などでは絶対にない。仄暗いけれど、どこか爽やかな。淡い停滞の底に、なにかが決壊しそうな気配が潜むような。
うーん。説明のつかない高揚感があったことは確かだと説明しておく。わけもなくどきどきと暴れる心臓を、そのままにしておくことが私は嫌いではないので、一旦放置でいい。
そうか。理由なんかなくてもいい。人と人は、なぜだか一緒にいることもあるし、なぜだか離れてしまうこともある。玄二郎と澄江。定義不能な二人の空気感に触れていると、名づけられたものだけがすべてではないのだと気づかされる。
「正しさ」を基準に生きてしまうことも多いけれど、なんとなく、隣にいたいからいる、やってみたいから挑戦する、そのくらいでいい。安吾の作品はどれも根底に「正直さ」がある。私も、自分にも他者にも正直に生きるという核心を、ずっと見失わずにいたい。
【気に入った表現】
「動物園の河馬を考え深くしたような」
面白いたとえ。センスある。
でも味と品位のあるイケメンらしい。
どういう顔?
