
ひなあられ
@03_o0
2026年4月16日
デッドエンドの思い出
よしもとばなな
読み終わった
表紙は秋景色だけれど、この季節に読めて良かったなと思う。
野良猫が近づいてきたと思えば、くるっと踵を返してどこかに行ってしまう。あるいは、踵を返したかと思えばてくてくと近寄ってくる。そんな、単なる気まぐれのようで、目に見えなくて、でも自然な「めぐり」を感じる。
行き去ったものに寂しさを感じるだけではなく、それも含めて「循環」としているところが好き。
この物語に出てくるキャラクターたちはきっと前を向いているわけではない。悲しみを消したわけではない。
悲しさやさみしさ、やりきれない思いなどを消すことなく抱えたまま、それらと隣り合って肩を並べられるように、いくばくかの折り合いをつけているだけなのだ。
別れを別れとして扱うこと、出会いを出会いとして扱うこと、それらを丁寧に丁寧に扱うキャラクターたちの姿勢が、この数々の物語を形作る背骨であり、また、その姿勢が、彼らに命を吹き込んでいるように感じる。
この物語の、思い出として語るにはまだ「思い出になりたてほやほや」な、近況として語るには整然とされはじめているような、そんな体温のはざまでゆれるような文章を見る度に、私は惚れ惚れとする。





