にっかり青江 "竜胆の乙女 わたしの中で永久..." 2026年4月17日

竜胆の乙女 わたしの中で永久に光る
物語による魂の救済に触れる。  勝ち気で明るい少女(竜胆)、星を思わせる美少年(八十椿)、力強さと褐色の美男(藤潜)、月の光のような眼鏡美男(惜菫)。花の名前をもつ美しい魅力的な登場人物たち。  竜胆は、あまりにも不気味で恐ろしい儀式を執り行わなければならなくなる。その様子は耽美に描かれており、恐ろしくも美しい。 不条理な掟に放り込まれた竜胆は追い詰められて、そして……。  実はそれまでに感じていた違和感から、ある程度予想できていた。それでも最後まで深い没入感の中で読み進められたのは、物語が緻密に作り込まれていたからだろう。すべての伏線に意味があったからこそ、自然と予想できたのだと思う。  鋭く心を抉られるような痛みを伴うシーンもあるが、最後には確かな温もりで傷跡を包み込んでくれる、素晴らしい余韻の残る作品だった。  人生を憎しみに費やすことはせず、自分を愛してくれる人のために生きる。 至極当たり前のことだが、時に理不尽なことが起きてしまう人生において、それを貫くのは難しい。なかなか感情は追いつかないものだ。 だとしても、自分もできるだけそうありたいと、強く思わされた。
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