
高卒派遣社員
@hidari_s
2025年3月13日

読み終わった
長野県美術館を訪問した際に東山魁夷の年表を目にした。美術愛好家でなくとも知っているような名作や大作の多くは、彼の人生の後半に世に送り出されていることに衝撃を受けた。
別冊太陽の東山魁夷特集は生誕100周年を記念したものである。年表を眺めているだけではわからない、日本を代表する画家の生涯をコンパクトにまとめた「入門書」と言っても過言ではないだろう。
1936年に20代半ばで2年間のドイツ留学への切符を手にし研鑽を積むが、父の病気により1年で帰国。太平洋戦争が終わった直後に母親と弟を亡くす。頼もしい妻が側にいたが、40代を目前に控え肉親をすべて亡くした魁夷は、人生のどん底を味わったに違いない。
「苦労人」と一言では片付けることが憚られるような苦しい経験が、彼の中で深い死生観を生み出し、その筆で描く自然の姿に投影されていったのかもしれない。
掲載された作品を見ながら、「魁夷はこの景色をどこから眺めていたのだろうか」と想像させてくれる特集だった。
