
イツキ
@maruitsuki
2026年4月18日
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ
読み終わった
孤独な人間が物語に救われ、同時に物語に呑まれていく時代を描いた小説。
この小説は「人はなぜ物語を必要とするのか」を、ものすごく意地悪に、でもすごく真剣に見つめたものだと感じた。孤独や不安や空白を抱えた人が、信じられるもの、居場所、自分を使い切れる対象を求める。その欲求自体はぜんぜん笑えないし、むしろ切実で。久保田も、澄香も、絢子も、みんなそこから動いている。だからこの小説は、誰かを“愚かだった”と切って捨てる話にはしていない気がした。
でも同時に、その切実さがいちばん危ない、とも言っている。物語に没入すること、視野を狭めること、共同体の中で手を繋ぐことは、救いにもなる。でもそれはそのまま、操られやすさ、依存、狂信、相互拘束にも変わる。つまりこの小説は、救済の回路と支配の回路がほとんど同じ形をしてしまうことを描いている。そこがすごく怖いと思った。




