choco "幸せについて" 2026年4月18日

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@bananachoco
2026年4月18日
幸せについて
幸せについて
谷川俊太郎
私は小学3年生の時から高校を卒業するまで、 ずっと同じ人が好きでした。 他の人とつきあっても、他の人と結婚しても、 心の中で彼はずっと特別な存在でした。 言葉にしたことはなかったけど、 なんとなくお互い好きだとわかっていて、 それでも私たちはつきあうことはありませんでした。 社会人になって偶然再会し、 初めて私はバレンタインのチョコレートをあげる決心をしました。 彼が乗る電車の時間の駅に また会えることを期待して行ったけど、 その日に限って彼はその電車にいませんでした。 私は度々彼を夢に見ました。 現実では伝えられていないから、 夢の中で私は毎回彼に好きだと言っていました。 もう何十年も離れていて、 私もそれなりにドラマチックな恋愛をして、 いつしか彼の夢は見なくなっていきました。 それでもたまに思い出していたんです。 どうしているかなぁ。 もう会うことも話すこともないのかなぁ。 死ぬまでに機会があったら ずっと好きだったと伝えたいなぁ。 小学校の同窓会があり、 幹事のおかげで彼がグループLINEに入りました。 彼は同窓会には不参加だったけど、 何十年ぶりかに彼とつながりました。 私はとうとう言いました。 伝えたいことがあると。 はぐらかす彼に、無理やりLINEで言ったんです。 「小学生の頃好きだったよ」 「高校の時は?」 「小学生の頃の気持ちを忘れてなかったよ」 「ずっと好きでいてくれてると思ってた」 彼の思いも聞いたけど、 それは私が大事に胸にしまっておきます。 ただ私たちは、2人とも同じことを決めていたことがわかりました。 「終わらないために始めない」。 たかだか中学生か高校生が、です。 そして私たちは今度会う約束をしました。 電話で彼に「幸せ?」と聞かれて、 「うん、幸せ」とはすぐに言えなかった私。 「何をもって幸せと言うかによるけど」。 それから私は幸せについて考えました。 彼と人生を重ねることはない。 次にいつ運命が交わるかもわからない。 今度会うのが最後かもしれない。 もう深い話はしないと思う。 何もなかったように、ただ 久しぶりだね 懐かしいね って話して別れると思う。 でも私の長い初恋で得た幸せは この本の中にありました。 皆さんもどうか幸せで。
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