ジェンギス・カーン "残像に口紅を" 2026年4月17日

残像に口紅を
残像に口紅を
筒井康隆
アイデアを作品に昇華することが信じられないほど上手い。 この小説のキャッチコピーはしばしば、「読むごとに文字が失われていく小説」だし、実際もっともセンセーショナルな説明はそういうのだと思う。 けど、僕が読んでもっと感動したのは、いわばアイデアの「理由付け」の部分。 なぜ文字が消えていくのか、どうして文字が消えていくのか、そしてそのことは何を意味するのか。それをしっかりと描き上げる上、切り口が哲学的な内省と、そこから導きだされる不条理だが納得せざるを得ない虚構。 筒井康隆はSF小説家としても有名だけども、その一因として、この理由付けや辻褄合わせを哲学的内省と結つける巧みさがあるんじゃないかなと思った。 逆に言うと、読み進めると「哲学的で抽象的な内省」→「不条理な世界」という順に虚構界が立ち上がるので、どんちゃん騒ぎを納得しつつ、何だか気高いものを読んでいるような気分で読める。てんさい!!!
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