時間のかかる読書人 "高校生のための 人物に学ぶ日..." 2026年4月19日

高校生のための 人物に学ぶ日本の思想史(1)
高校生のための 人物に学ぶ日本の思想史(1)
佐伯啓思,
公益財団法人国際高等研究所,
高橋義人
ただただ日本は文明の上皮を滑っているだけだ。あるいは滑るまいと踏ん張って神経衰弱になっている。そうだとすればどうも日本人は気の毒というべきか、哀れというべきか、真に言語道断の窮状に陥ったものである。私の結論はそれだけにすぎない。あのようにしなさい、このようにしなさいというわけではない、どうすることもできない。実に困ったと嘆息するだけで、極めて悲観的な結論である。 この開化は残念な事態という他ないが、だからといって西洋的近代化から抜け出すわけにはいかない。西洋的近代化の中に飛び込んだ以上、この道を逸脱するわけにはいかない。この状況をまともに憂慮して、上滑りすまいと踏ん張ろうとしたら、日本人は神経衰弱になる、と彼は述べる。それはしょうがない。そういう悲観的な結論しか出てこない。漱石の姿はどこまでも憂鬱であり、さびしそうである。漱石自身がそういう人生を生きた人であった。
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