"ストーナー" 2026年4月19日

@ibu4_618
2026年4月19日
ストーナー
ストーナー
ジョン・ウィリアムズ,
東江一紀
久々に小説を読んで大泣きした。 自分が小説が好きな理由が詰め込まれた作品だと思った。人生において幸福は長く続かず、裏切りと失意が隙を狙っては襲いかかってくる。常にうっすらとした諦念を抱えながら、それでも仕事や大切な人に愛を捧げて日常を続けていく。ストーナーの生涯には、自分がおおよそ人生に対して漠然と考えていたことが、儚さと美しさと悲しさを持って鮮明に描き出されていた。 平凡な男の平凡な日常を淡々と綴った物語だからこそ味わえる深い感動がある。それはストーナーを同じく平凡な生涯を送る一人の男にとっては大きな希望だと思った。 あとがきで筆者がインタビューに答えていたように、ストーナーはきっとたいていの人よりよい人生だったのだろう。「やりたいことをやり、自分のしていることにいくらか適性があり、みずからの仕事が重要であるという認識をいくらか持てたのですから。」(『STONER』p331 訳者あとがきにかえて) 自分は自分の人生に対して何を期待するだろうか。「本質的に大切なのは、対象への愛を持つことです」(p331 訳者あとがきにかえて)と筆者が言及しているように、人でも、仕事でも、愛を持てる対象を探し続け、それを見つけたら大切に愛することだろうか。 仕事であれば、今自分が持っている能力、適正、経験をもって、自分が愛を注げる仕事を探す。そういう対象を見つけられるかは、運次第というところもあるだろうし、見つけた対象が、世間的に尊敬されて高い給料をもらえるようなものではないかもしれない。でも、最終的に敗北と虚しさに満ちていく一生の中で、心から愛せる対象を、多くはなくとも抱きしめながら生きることができたなら、それは素敵な人生だと思う。 友だちだってそうだと思う。作品の中でも、ストーナーは生涯の友を学生時代に得て、そのうちの1人のゴードン氏は最後までストーナーのそばに居続けた。欠点や自分とは合わない部分があったとしても、愛くるしい友を持つこと、これもまたとても重要だ。仕事、パートナー、友、子ども、親、学問。愛する対象はきっと自分の認識次第でいかようにも広げられるだろう。 私の人生は思い通りにいかない、ささやかで取るに足りない人生だとしても、愛する対象を持って全うすること、これを大事にして親からもらった生を全うしていきたい。そういう小さくても強い希望を心に灯してくれる大切な一冊を得ることができた。この小説は、自分の中にずっと残り続ける愛する対象になるだろう。
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