かよ "わたしを離さないで" 2026年4月19日

かよ
かよ
@kayoinoue
2026年4月19日
わたしを離さないで
わたしを離さないで
カズオ・イシグロ,
土屋政雄
こんなに改行のないびっしりと文字がつまった分厚い本を食い入るように読めたのは初めてだと思う。三宅香帆さんきっかけで読み始め、隙あれば常に手から離せない本だった。 描かれてる世界の舞台や人種は全然違うのに、恐ろしいくらいわかる、わかる、と共感の連続。わざわざ人に言わない(言えない)ような共感性羞恥?的な過去の記憶、仲良い友達から向けられた嫌味や、その嫌味に初めて出会った時の感情、その子と私にしかわからないすれ違い、付き合ってる人ではないけど不思議と通じ合う異性との関係など…小さい頃や学生時代の感情の機微を文学に描き出せること自体に感動する。 ⇩ネタバレあり 「信頼できない語り手」と評されるカズオイシグロの語り口は、物語の前提となる情報をひた隠しにして色々な寄り道をしながら、手探りで記憶をたどるようにして語られる。(序盤のとっかかりがないので、そういう小説が苦手な人もいると思う) 最初は、親の話が一切出てこないこと、何歳になっても泊まり込みの学校にいることでおやおや?と。 捨て子の話かなーなどと思うけど、「提供者」でなになに?となる。 気になる気になる、、で読み進めていくと終盤でどんでん返しのように全ての前提となる情報が出てきて、今までの登場人物の言動が走馬灯のように思い起こされ、紐づいていく。 物語の本筋はクローン人間や臓器移植だけど、色んなケースに置き換えて考えられるからこんなにも多くの人の胸を打つのではと思う。 誰しもが、「社会的に自分がどのポジションにいるのか」知らずに育つけど、自分に課された運命や状況を少しずつ把握していく過程で、それぞれの性格らしく人間臭く向き合う姿が描かれていると思う。
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