しをに "月と六ペンス" 2026年4月17日

しをに
しをに
@remnkkswn60306
2026年4月17日
月と六ペンス
月と六ペンス
サマセット・モーム,
William Somerset Maugham,
金原瑞人
パリの章の終わりがコミュニケーションの終わりであったことに仰天し、え、本当に残りのページ何やるの!?と思ったら、長いエピローグのような語りが始まって、そのまま終わったことにまた仰天。 パリでの臨場感は、全てストルーヴェが担っていたのかも。彼がいなくなれば、傍観者である視点主人公が残る。この人は自身で傷を負わないし、ストリックランドの存在に足元を壊されもしない。当然、ストルーヴェにも。当事者がいなくなったラストのパートは、舞台の切り替えもあって質感が全く違った。ストルーヴェとブランチは、視点主人公にとっても流れ去って消えていった。 という訳でラストは淡々と一気に読み終わってしまった訳ですが、私はこの時代の西欧世界におけるポリネシアの位置付けに関する知見がないために、どう感想を抱いたら良いかよく分からない箇所は多かったし、ストリックランドの死因に至っては、この世界でどのくらいのリアリティがある設定なのかの方が気になって最後の最後にだいぶ気が散ってしまった。このあたり、前提知識のあるなしで引っかかりもせずにスルーしてることが他にも山ほどありそう。 ぱっと見で、ハンセン病が劇的な最期の演出に組み込まれたように見えて引っかかったものの、これほどの作品になら、どこかでしっかり検証されてる気もする。 せめて後書きに少し解説が入ってればとも思う反面、そんなものなくても誰もが現実をよく知ってる世界ならそもそも問題はないのだろうし、例えば男女観に関する言説に対してはこの時代だとこんな感じかーくらいで自分も総スルーしてた訳だし。 その辺の匙加減にはやはり知識が追いつかないけれど、見当外れであっても実感として記録しとこう。やはり気が散りまくってますね。 きっと芸術家像の一つの型である/それを作ったんだろうな、と思える作品でした。それにしても文章がべらぼうに読みやすかった。原文だけじゃなく訳も凄いんだろうなこれ。
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