
pamo
@pamo
2025年3月18日

ウンラート教授 あるいは一暴君の末路
ハインリヒ・マン,
今井敦
読んでる
心に残る一節
引用:本来の女芸人フレーリヒが、ようやく今、彼の前に座っていた。彼は、女芸人フレーリヒが生まれる場に居合わせたのであり、そのことに今初めて気づいたのだった。彼は一時のあいだ、美と欲望と魂をこしらえる厨を覗いたのだ。ウンラートは幻滅すると同時に、その世界の事情に通じた人間となった。「こんなものだったのか?」と考えたあとすぐに、「これはまた凄いものだ!」と考えた。心臓はドキドキ鳴った……一方で女芸人フレーリヒは、彼の心臓を高鳴らせた塗料を、布を使って両手からぬぐった。(p.140)