ウンラート教授 あるいは一暴君の末路

ウンラート教授 あるいは一暴君の末路
ウンラート教授 あるいは一暴君の末路
ハインリヒ・マン
今井敦
岩波書店
2024年5月17日
5件の記録
  • pamo
    pamo
    @pamo
    2025年3月25日
    引用:幸福の頂点まで登りつめた者は、底の見えないほどの奈落にもまた、よく通じているのだよ。(p.305)
  • pamo
    pamo
    @pamo
    2025年3月24日
    ドイツ版『痴人の愛』。町中から嫌われ「ウンラート(汚物)」のあだ名で嗤われている偏屈老教師が、美しい女芸人と出会い、孤独な愛に溺れながらも世界へ復讐していく話。『痴人の愛』は恋愛が主眼だったが、『ウンラート教授』は主人公による復讐が軸足になっている。 人を愛さず、人に愛されないゆえに人間嫌いになり、人類を憎み、自分をバカにした(と思い込んでいる)生徒たちを破滅に追い込まねば気が済まない、哀しき主人公。 時代と地域柄、登場人物たちの見ている世界があまりに狭くて全てがみみっちいのは玉に瑕だけど、自分を愛せないが故にどんどん破滅へと奔走してしまう主人公は、現代でいう「無敵の人」そのもので共感なしに読めない。人類は何年経ってもこの問題を解決することはできない。 映画『哀れなるものたち』がフェミニズムを軸に哀れなる者たちを描いたとすれば、こちらはファシズムを軸とした哀れなる者たち。 末尾の解説を読むと、強権的な学校教師の問題や実在の事件など当時の社会をそのまま反映した部分がかなり多いらしく、当時の雰囲気を知るのにも良い一冊。
  • しか
    @shikanenekitu
    2025年3月24日
  • pamo
    pamo
    @pamo
    2025年3月18日
    引用:本来の女芸人フレーリヒが、ようやく今、彼の前に座っていた。彼は、女芸人フレーリヒが生まれる場に居合わせたのであり、そのことに今初めて気づいたのだった。彼は一時のあいだ、美と欲望と魂をこしらえる厨を覗いたのだ。ウンラートは幻滅すると同時に、その世界の事情に通じた人間となった。「こんなものだったのか?」と考えたあとすぐに、「これはまた凄いものだ!」と考えた。心臓はドキドキ鳴った……一方で女芸人フレーリヒは、彼の心臓を高鳴らせた塗料を、布を使って両手からぬぐった。(p.140)
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