
きいこ
@kiikokko
2026年4月20日
52ヘルツのクジラたち
町田そのこ
読み終わった
私たちはみな、現代社会という大海に漂う52ヘルツのクジラたちなのだと思う。自分の鳴き声は誰にも届かないし、誰かの鳴き声も決して自分の耳には届かない。だけど、もしも聞こえそうになったときは、じっと耳を澄まして精いっぱい聞き取りたいと思った。
ムシのことを「52」と呼ぶことが決まったとき、「せめて『クジラ』のほうがよかったんじゃないか」、「いやでも52ヘルツということに意味があるから『52』でよかったのか」などと悶々としながら読み進めていたので、美晴が命名に突っ込んで、それに対して貴瑚も思い直してくれたところで胸のすく思いがした。
カバー裏の小噺もほほえましくておもしろかった。がんばれ、村中くん。
主人公にどこか自分を重ねて読んでいたので、読了後に元気をもらえた。寂しいときに、眠れない夜に、そっと寄り添ってくれるお守りのような作品だと思った。本棚に残しておきたい。

