コダック "タタール人の砂漠" 2026年4月20日

コダック
コダック
@reads_brain
2026年4月20日
タタール人の砂漠
タタール人の砂漠
ブッツァーティ,
ディーノ・ブッツァーティ,
脇功
5/5 博士課程の学生である私にとって、この本は辛い読書体験だった(でも間違いなく面白い)。もちろん、私の置かれた状況をこの作品の内容とそのまま同列に語ることはできない。それでも、自分の研究によって何か新しいことが見つかるかもしれないと信じて時間を費やし続ける一方で、修士号を取得してあっさり卒業していく人たちを見送る自分を、砦を出ることなく、幸運や彼らの選択によって配置換えされていく同僚たちを見送る主人公に重ねずにはいられなかった。 p.286の「ある人間の苦しみは全くその人間だけのものであり、他のものは誰一人いささかもそれをわがごととは受け取らないのだ、ある人間が苦しみ悩んでいても、そのためにほかの者が辛い思いをすることはないのだ、たとえそれがいかに愛する相手であっても」という一節は、とりわけ印象に残った。 こうした見事なアフォリズムが随所に散りばめられているのも、この本の大きな魅力だと思う。 次は『神を見た犬』を読みたい。
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