
苺月
@moon_tea
2026年4月21日
イン・ザ・メガチャーチ
朝井リョウ
読み終わった
「推し活」から身を引きたくて、一度は離れた読書の世界に逃げ込んできてから半年ほどが経つ。
この本はなんとなく今読むことに意味がありそうだなとずっと思っていたらいつの間にか本屋大賞を受賞していて、慣れない単行本の重さや豪華な箔押しの表紙にドキドキしながら本を開いた。
SNS、骨格診断、MBTI、推し活...スマホを前に毎日のように浴びているワードが本の中でも当たり前のように飛び交っていて、フィクションのはずなのにフィクションの世界に思えなかった。
1章から2章に切り替わったときの、父から見た娘の姿と実際の娘の姿の認識のギャップにゾッとする。
「物語戦略」や「ファンダムの形成」など、売り出す前の段階から綿密に作り込まれていくアイドルグループの過程を読みながら、ここまでされたらのめり込むのも仕方ないよな、と、当時を振り返り少し救われた気持ちになった。
「推し活ブーム」による経済効果のニュースを見る機会が増えて、今後ますます作中に出てくるような戦略がさまざまなものに取り入れられていくんだろうなと思う。
やってることの本質は宗教と変わらなくて、しかもそのターゲット層が学生であることも多いだろうことが恐ろしい。
でも、自由な生き方ができる現代だからこそ何かに没頭しているほうが楽で楽しい、という考え方にもすごく共感できるし、今自分が読書にのめり込んでいるのも、依存先の対象が変わっただけで本質的には何も変わってないんだろうなと思う。
自分でも何が正解なのかもうよくわからない。
「これからの人生に還ってくるのは、これまでにやってきたことよりもやってこなかったことのほうだ」
まるで自分に向けられているかのような言葉に、いずれくるであろう40代、50代の自分を思い浮かべながら怖くなった。
「今」の空気感がものすごい解像度でぎっしり詰まった作品、数十年後に読み返すとどんな気持ちになるんだろう。
最後は「ちゃみする」の正体にどうか気づかないでくれ、と願いながら読み進め、気づけば残り少なくなっているページにラストの展開を予感し絶望した。
想像していたよりもずっと自分ごとのようなこの作品を、今のタイミングで読むことができて本当によかった。
ミステリーやファンタジーが好きだけど、たまには自分について考える機会がもてるような本も読むようにしたい📚



