
紫嶋
@09sjm
2026年4月21日
傷のあわい
宮地尚子
読み終わった
借りてきた
同じ著者の『傷を愛せるか』がとても良い本だったため、こちらも読んだ。
あちらが幅広く様々な心の傷を取り上げていたのに比べると、こちらの本は主に異国に暮らす日本人や、異文化・別国籍の人間であることの苦労などをテーマとしているため、そういった意味では「当事者感」があるか否かは読者によって分かれるかもしれない。
私自身も、日本人として日本で生まれ育ち、留学経験などもなく、あまり周囲に他国の人がいたこともない人間のため、どちらかといえば本のテーマからは外れる人間ではあるが、著者の客観的かつ繊細で柔らかなフィルターを通して語られる物事を読み進める中で、ふとした瞬間に「我ごと」としても捉えられる普遍的な問題がいくつもあった。
またこの本で語られている、異国に暮らす日本人が陥りやすい精神不調、国籍の違いから生じる偏見や軋轢といった課題は、現在であれば日本国内で暮らす外国出身の人々が抱えている問題にも繋がってくると思う。
その人たちや、その人たちの置かれている環境を、どう客観的に捉えて解釈していくのが良いのか…というヒントも、この本の中にはあるのではないか。
そういった点では、誰もが「当事者」になり得るテーマを多分に含んだ一冊である。

