伊藤裕満 "薔薇の名前[完全版] 下" 2026年4月21日

薔薇の名前[完全版] 下
薔薇の名前[完全版] 下
ウンベルト・エーコ,
河島思朗,
河島英昭
「初めに言葉があった。言葉は神とともにあり、言葉は神であった。」 僧院をめぐる権力争い、清貧を巡る宗教論争、教皇と皇帝の争い、異端を巡る歴史、知への欲望、そして性と愛と罪。 それらを探偵小説の形を借りて話は進んでいく。 失われた書を巡る話でありながら、書を失う話でもある。 「書」とは「言葉」であり、「言葉」とは「神」である。 ↑とはまた別の意味で、失われた書のかけらを集めていく主人公が語る最後の章「最後の紙片」もとても良かった。 訳者あとがきで、エーコが亡くなり、その数年後に父である英昭氏が亡くなり、息子の思朗氏によって、父の跡を継ぐ形で完全版が完成している。 そこからもこの本に運命めいたものを感じてしまう。
読書のSNS&記録アプリ
hero-image
詳しく見る
©fuzkue 2025, All rights reserved