かえらずの本棚 "アルプス席の母" 2026年4月22日

アルプス席の母
母親目線での高校球児の話なのだが、気持ち悪い話だった。 母親のほうは息子思いなのはいいが行きすぎた愛、エゴゆえの愛があり、それを自覚しつつも大局的にはすべて息子のためと信じて奮闘するのだが、同時に親という立場であることをいいように行く先々で息子をこけにしすぎ(うちのバカがすみませんという価値観)、かたや息子は終始「お母さん産んでくれてありがとう」という価値観でいる。これが受け付けなかった。しかもたくさんの母親と息子が登場するものの、これがそろいもそろって大体みんな同じ言動をするのでびっくり。 親と子の呪い的なものを禍々しく描いているようで、実態ははるかに浅くなにかのドラマでさんざん見てきたようなテンプレだらけ。なんだろうな、母親から見る高校野球の話はかなりしてくれるのでそれはとても面白かったものの、見たかった人間の話はぜんぜんしてくれなかったというか。あくまでも高校野球が主軸で、人間への魅力がまるで感じられなかった。繰り返しになるが、なんていうか登場人物すべてが慣習的な価値観のままでいる。ああ気持ち悪い。それとも普通の家族ってこういうものなのか?  文章にもこだわりが見られず、ひたすらウケるためのお涙頂戴本を作ったらこうなりました的な思惑さえ感じさせる本だった。それにしてもいまの時代に売れる本だとは思えないんだが、やはり母親目線という点が真新しいからなのか。 苦手な食べものを食べて「まっず!」とわめいているだけ、自分には合わなかったというだけなんだけど……もっと警戒しておけばよかった。
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