
時間のかかる読書人
@yoko45
2026年4月22日
読んでる
万能感と自己肯定感をイコールと見なさない
ここで一つ、現代の子育て論の懸念を述べておきましょう。それは、この時期の「万能感」を維持することが、その後の「自己肯定感」につながるという考え方です。前項で述べた「万能感」は、ごく狭い世界(親子間)によって生じるもので、言わば「外界に本格的に参入していない」ことを前提とした感覚になります。
対して「自己肯定感」は、自身のポジティブな面だけでなく、ネガティブな面も含めて「自分の一部」と思えることであり、ネガティブな面を持つ自分をも「肯定できる」という実感です。このポジティブ/ネガティブという認識には、多少なりとも「外界との関わり」が影響しているので、この点だけを見ても「万能感」とは趣が異なるのがわかるでしょう。
こうした「万能感」と「自己肯定感」を完全に別物と捉えるか、それとも地続きと見なすかは議論のあるところでしょうが、まったく同じものとして扱うのはさすがに無理筋です。
少なくとも、「万能的な有力感」が外界との関わりを通して調整され、「現実的な有力感」になっていくことが大切ではないでしょうか。この点を間違えると、幼児的な「万能感」を維持してしまい、子どもの社会参入に不都合を生じさせる恐れがあります。