
うどん
@ezm4sy
2026年4月24日
歌われなかった海賊へ
逢坂冬馬
読み終わった
重厚な戦争小説であると同時にポップなキャラクター小説であるという点で『同志少女よ』と同じ構造。フェミニズム色が薄い代わりに、ナチ政権下ドイツという最も語り辛くと語るべき点の多い舞台で展開されるゆえ、同じだけの価値を持つと感じる。
ある種青臭さを持った主人公たちと、分別があり、素朴であり、愚かであり、善人であり、同時に卑怯で狡猾で許されざる悪人である市井の人々と。己と地続きなのはどちらかと考える。物語の構造上、あるいは歴史の構造上の都合で英雄として現れた連合国軍に、少しでも英雄性を感じはしなかったか。
翻って、ストーリーテリングの観点で言えば、入れ子構造にした意味が終章でひたひたと分かり始め、最後の一文では世界が揺さぶられたな。手記が始まる前の二十数ページに実は大きな意味があったことが分かること、手記が終わった後の十数ページがもっと大きな意味とメッセージを持つこと、小説の構造としては『同志少女』より明確に優れていると思う。

