
記憶の本棚
@kioku-no-hondana
2026年4月23日
ユージニア
恩田陸,
祖父江慎
読み終わった
不穏な空気が終始張り詰め、少しずつ新たな真実が見えてきて、霧が晴れそうになるも、それでも真実が掴みきれない、かなり読み手に解釈をゆだねられる作品でした。
他の方の解説や解釈を読んでみて、「うわ、その記述さらっと読み流してたけど、そういうことか⁉︎」と思う部分多々で、読み手の捉え方によって主犯と思われる人物が変わるという面白さ。
--- 緋紗子の存在そのものが奇跡ではなかったのか。あたしの奇跡であっても、奥様には奇跡ではなかったのか。
わからない。--- p406
そう。誰も真実を確信持って教えてくれないのだ。
“存在そのものが奇跡”であるかのような少女を、崇拝し、その存在になってみたいと懇願し試行錯誤するも、結局ただの鑑賞者でしかなかった。でも私だけが唯一あなたの全てを見透かした鑑賞者であり、その事実を本人に気づいてもらうことによって生まれる二人だけの絆みたいな関係に喜びを感じる。
あぁ、人間そういう感情もあるよな…
…あるか? でもわからなくはないぞ…
という怖さも感じた。崇拝するあまりの狂気。
作者の恩田陸さんはこの作品を『読むと不安になって、読み進めるとさらに不安が深くなるお話』と言っておられます。この不穏感、背筋に迫る薄気味悪さ、絶妙な「よくわからなさ」加減。が、ザ・恩田陸の世界観という感じで、とても好きな作品でした!


