
RIYO BOOKS
@riyo_books
2021年5月9日

エウロペアナ
パトリク・オウジェドニーク,
阿部賢一
読み終わった
記念碑の前で立ち止まる人たちは、兵士やパルチザンや強制収容所の囚人たちと、彼らの生を、そして死を、ほんのわずかではあったが共有しているような気になった。ある歴史家が言うには、記念碑とは、干潮で水が引いたあとに海岸に残された貝のようなもので、記憶が薄れて残されたものだという。まだわずかに生の痕跡をとどめてはいるが、その生は切り刻まれたミミズのようなもので、もはや現実ではなく象徴的なものにすぎない、と。
