あかねいろ "アルジャーノンに花束を〔新版..." 2026年4月24日

アルジャーノンに花束を〔新版〕(ハヤカワ文庫NV)
仕事の昼休みにちまちまと読み続け、丁度一ヶ月で読了。 「ぼくわかしこくなりたい」 そう願ったチャーリイ・ゴードンの人生を追体験するような本だった。 (以下ネタバレを含みます) ある手術を受けてから急速に知識を身に付けていったチャーリイは、自然と自身の身の回りを取り巻いていた人らの悪意、善意、または秘めていた真意を知っていく。 途中、急激に上昇したIQを持て余すように横柄な態度を取る期間もあるが、それもそのうち収まり、やがて他人を敬い、慈しむ心へと落ち着いていった。 しかしある日、彼は自身が受けた手術が不完全だったことに気付き、同時に、自身に訪れるであろう結末を察する。 これから、急速に身に付けた知識が急速に失われていくだろうということが、彼には分かった。 彼より前に、彼と同じ脳手術を受けていた白色のネズミのアルジャーノンは、既に彼が予想した症状の兆候が出ていた。以前まで精力的に取り組んでいたネズミ用の知能テストを放棄するようになり、無為に暴れることが増えていた。 自分に残された時間はどれ程あるだろうか。 チャーリイは、未来のために、自分と同じ障害を持つ人たちのために、残りの時間を研究の助けに使うことに決めた。 その間、相棒であり友であったアルジャーノンが死に、彼は悲しんだ。しかし、彼は自身に課した使命を果たすべく動き続けた。 やがて、その時がやってきた。 チャーリイの知能が、急速に低下していく。一日毎に、あるいは時間単位で、彼が身に付けた知識は失われていった。 それでも彼は記録を続けた。言語能力が失われかけていようとも、自身とアルジャーノンの記録を以て、未来に貢献するために。 「どうか……どうか……読み方や書き方を忘れないよおにしてください……」 P.443で綴られた彼の願いは、おそらく叶わなかったのではないかと思う。 しかし、p.449の本文最後の一文。 「ついしん。どーかついでがあったらうらにわのアルジャーノンのおはかに花束をそなえてやってください。」 他者を思いやる彼の心だけは失われないでいてほしいと願わずにはいられなかった。
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