menou "イン・ザ・メガチャーチ" 2026年5月30日

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2026年5月30日
イン・ザ・メガチャーチ
長編の割に何がオチだったのか─── 最後作者の提示がなかったように思える。 そして誰に感情移入したらよかったのか、という迷子感もある。 あえてその正解がないことが狙いなのかもしれないが、消化不良な感覚があり、もう一冊続きを読みたい気分になった。 40代レコード会社勤務のバツイチ男性久保田 その娘 大学生の澄香 ちゃみする 契約社員の女性 隅川  3人の物語が交互で紡がれていく。 同世代の男性の気持ちがやはりいちばんわかるが、私も推し活にかなり傾いており、本書を取った。 ⚫︎信徒獲得と教義の布教、視野狭窄 確かにひとつのものしか見ないのは視野狭窄である。そして自分を空にすることがヲタクとしての貢献度であり、幸せと勘違いし、推しがあることを存在証明にしてしまうが、やはり自分を空にしてまで時間もカネも献上してるのは推しという薬が毒になってしまうことなのだろう。 本書でおもしろかったのは狂信者が集まるシーンで意外と多かったのが40代だ。 就職氷河期世代ではないだろうか。 そしてこれは自分の肌感覚で元気な目上の人に叱られそうではあるが、この世代の人はもう自分の中に頑張るエネルギーが乏しいのではないだろうか。一度推しを作ったら、それを応援してる方がずっとラクなのだ。 ⚫︎生き方の正解がない多様性現代 この問いかけもおもしろかった。 澄香の大学内の仲間で中心的存在の奈々。澄香視点では感じ悪そうだが、このメガチャーチというテーマを学びたいと進路選択し、妹がこの構造に取り込まれているという理由も語っている。 結局彼女がなんだかんだで真っ当なのだろうか。 人生100年時代のなかで、余生は長く続く。 そして最近はスターとそうでない人のボーダーも曖昧だ。明日は誰かがストーリーで心を掴んでバズっているのかもしれない。 道也、どうなるんだ。あっさり適応障害で退場した時は驚かされた。 久保田はあの後自分の娘がちゃみするだと知った時、また自分の銀行口座の残高がおかしいことに冷静になった時、どうするだろうか。 私は2人が会話してることを願うのだろうか。 久保田的に言えば雑談ができて、1人きりでない自分が正解なのだろうか。 自分を空にしすぎず、誰かにコントロールされていないということが、本書が言いたかったことなのだろうか(国見はこれに当てはまりそうで、何も推さないということで空虚すぎる存在に思える)。 もしかしたら、そこには誰かにもたらされた幸福ではなく、自分から生み出した幸福があることが私にとっては大事なような気がする。 さいごに2つ。 ひとつは、本書の中で時々会話が不協和音のように前後噛み合ってない羅列の仕方があり、カッコよかった。 もうひとつは、カバーを取った本書の色が薄紫であったこと、心憎い。 桐島以来の朝井作品でした。ありがとうございました。 6/14
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