
楡
@etemotust
2026年4月26日
ここは退屈迎えに来て
山内マリコ
読み終わった
再読
タイトル通りの本だった。ここではないどこかに行きたくて、でも行けない/行けなかった話。
私自身は志望大学に落っこちて泣く泣く上京したので、東京への憧れもここではないどこかへの羨望も、少なくとも学生時代はなかった。なので、誰にも共感はできないけれど、全編を通して登場する椎名のような"持てる"者ではない者の、鬱屈や切なさはわかるし、痛々しくてしかめ面になるような気持ちだった。
連作短編だけど、前半戦が好きだったな〜という気持ち。
「私たちがすごった栄光の話」の須賀さんの都落ち開き直りアンサーソング、「やがて哀しき女の子」の輝きを失った椎名の、それでも"持てる"者だった気配のする所作、「地方都市のタラ・リピンスキー」の「私は椎名の運命の輪の一つかもしれない。」の切なさ、「君がどこにも行けないのは車持ってないから」の悟りと前向きさ。
やっぱり、ここは退屈迎えに来て、というタイトルが本当にぴったり。
