デレセロ "破戒" 2026年4月27日

破戒
破戒
島崎藤村
「自分の出自を決して他人に明かしてはならない」という父の戒めをずっと自分に言い聞かせながら、バレてしまったら社会から圧迫され差別されてしまうという丑松の懊悩。しかし尊敬する先生にだけは自分の想いを知ってほしいことから、素性を告白をするか否かという葛藤。そういった内面の揺れ動きがじっくりと丁寧に描かれているだけ読んでいてとても辛かったです。 作者の日頃の観察眼が秀でているからか、丑松の出自に関する周囲の反応や伝聞の拡がり方も妙にリアルで、人間の醜い部分が嫌というほどに伝わってきました。時代を経ても人間は変わっていないし、変わらないのだ。 追い詰められて、何が悪いと胸を張るのではなく、自分は卑しい身分であると床に額をついて詫びるところが読んでいて辛い。 読者はつい丑松に理不尽な差別や不当な扱いに立ち向かってほしいと願ってしまうが、やはり告白するだけでも凄まじいハードルであると痛感させられた。 ただ終盤の展開の流れが綺麗すぎて、百年以上前の小説ではあるけれど、まだまだ現実の方が追いついていないと思わさせられました。
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