阿久津隆 "響きと怒り" 2026年4月14日

阿久津隆
阿久津隆
@akttkc
2026年4月14日
響きと怒り
響きと怒り
ウィリアム・フォークナー
開くと1928年4月7日とあり、『アブサロム、アブサロム!』のクェンティンたちの時間は1909年だったからその20年後だ、「柵にまきついた花のすき間から、二人が球を打っているのがのぞけた。二人は旗の立っているところへ近づいていき、わたしは柵にそって進んだ」と始まった。 p.7 ラスターは花の咲いている木のそばの草むらのなかを捜していた。二人は旗をぬきとり、それから打ちだした。それから旗を元のところにさすと、テーブルの方へ進んでいき、そして一人が打ちもう一人が打った。それから二人はさらに先へ進み、わたしは柵にそって進んでいった。ラスターが花の咲いている木のところからやってきて、わたしたち二人は柵にそって進み、二人がとまるとわたしたちもとまり、ラスターが草むらを捜しているあいだ、わたしは柵のあいだから向こうをのぞいた。 最初のパラグラフを二度、三度と読んで、柵の向こう側でゴルフをする二人と、柵のこちら側で柵に沿って進む二人(そのうちひとりは草むらで何かを捜している)がいることがやっとわかった。小説の始まりの時間というのは光景を立ち上げるのはいつだって大変で、いいものだった。 それにしても、店では10年のあいだケトルの真下の位置にあった本で、お湯が溢れたりして何度も濡れているのだろう、かぱかぱで、開きづらい。これは読みづらい、これで読むだろうか、諦めて買い直すだろうかと思いながら何ページか進んだ。
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