
とろん
@toron0503
2026年4月20日
別れを告げない
ハン・ガン,
斎藤真理子
読み終わった
すごいものを読んでいる…という感覚が終始あった。ハン・ガンを読むのは今作がはじめてなのだけど、彼女の作品がしばしば形容される「眼を覆いたくなるような酷いことが書かれているのに、うつくしい」という、その相反の表現が解るように思った。
極めてリアルで、資料や取材に基づいて書かれているのに、幻想的な展開が上手く融合されている。それでいて難解と感じず、物語の進むリズムもとても安定している…つまりは小説として完成されすぎていて呆然としてしまう。雪や鳥のモチーフの使われ方も素晴らしかった。その他の作品も読んでみようと思う。
特に心に残って好きな場面は、キョンハが済州島のインソンの家に向かう途中、あまりに激しい雪のためしゃがみこんでしまうところ。
「それらの水滴と砕け散る雪の結晶と血の滲んだ氷とが同じものでなかったはずが、今、私の体に降りかかっている雪がそれらではないと、いえるはずがない」


